きゃろっと内倉さんのメルマガから学ぶ、コーヒーの世界
珈琲の常識は非常識!?北海道・恵庭のスペシャルティコーヒー専門店「珈琲きゃろっと」の内倉大輔さんが
お客様の質問に答えるメールマガジンを、わかりやすくまとめました。
新鮮な豆でも膨らまないケースは意外と多いんです。原因は大きく4つあります。
ハイローストより浅めの銘柄は、豆の細胞密度が高いため炭酸ガスが入る隙間が少なく、焙煎直後でも膨らみは弱くなります。逆に深煎りほどよく膨らみます。
細かく挽きすぎると炭酸ガスが粉砕時に放出されてしまいます。逆に粗すぎると断面からお湯が入れず膨らめません。届いてすぐなのに膨らまない場合は、この原因が最も多いそうです。
密閉容器に入れれば1ヶ月以上膨らみますが、パックを開けたまま保管すると数日でガスが完全に抜けてしまいます。
85℃以下になると、特に中煎りより浅い焙煎度の豆はほとんど膨らみません。
内倉さんの個人的おすすめは「ネルドリップ」。ただし管理が面倒なので、ペーパーなら素材選びが鍵です。
出来上がりの温度に影響します。陶器は素材が厚く蓄積できる熱量が多いため、注いだお湯の熱を吸収し、出来上がりの温度はプラスチックに比べて若干低くなります。
同じ構造なら陶器とプラスチックで味の違いはありません。ただしプラスチックの素材によっては、プラスチック臭がコーヒーに付いてしまう場合があるので注意。
ドリッパーの穴の数よりも、フィルター自体の材質が味に大きく影響します。ペーパーフィルターならカリタ製がおすすめとのこと。
色の違いには様々な原因があります。すべてが「悪い」わけではないんです。
「スクリーン(粒の大きさ)の違いによる煎りムラ」の場合、豆自体の品質に問題はありません。浅い焙煎の豆をブレンドしているようなもので、味に影響がなければそのままでOK。
「未成熟豆」のような欠点豆だけ色が薄く煎り上がることがあります。未成熟豆は抽出時に渋みの原因になるため、取り除く必要があります。
弱火で時間をかけると色は均一で美しくなりますが、フレーバー成分が発達せず、豆内部だけが焼けた「芯焦げ」状態に。見た目は美しくても失敗焙煎です。逆に強火すぎると焼きムラと表面焦げに。適正なカロリー量のバランスがお店の味作りになるとのこと。
内倉さんの推奨抽出温度は85〜90℃。ここから意外と温度が下がるんです。
コーヒーが熱すぎると舌が熱さの刺激で味を感じにくくなります。飲みごろの温度は一般的に40〜60℃程度。
温めすぎると熱による酸化が急速に進みますが、すぐ飲む場合はそこまで問題ありません。電子レンジで温めても大丈夫です。
個人的には45〜50℃くらいのぬるいコーヒーが一番好きとのこと。品質の良いコーヒーなら、この温度帯でもクリーンで雑味がなく、高温の刺激も少ないため、コーヒーのキャラクターが最も魅力的に感じられるそうです。
泡の色は様々な要因で変わるが、判断材料としてはあまり使わない方が無難。推奨湯温は焙煎度別に異なります。
豆が新しい方、お湯の温度が高い方、抽出の後半ほど泡が白くなりやすい傾向があります。ただしファクターが多すぎるため、泡の色で抽出の良し悪しを判断するのは難しいです。
中煎り87〜90度、中深煎り85〜87度、深煎り83〜85度。特に深煎りは湯温が高いと苦みが突出してしまいます。
目安は3〜4分以内。「20gの豆、87度のお湯、中細挽き、250cc抽出」のように完全に決めてしまうと驚くほど味が安定するとのこと。
安定した焙煎のためには「熱量」「風量」を数値として可視化することが重要。きゃろっとの焙煎システムの秘密に迫ります。
カロリー、排気風量、時間を1秒ごとに折れ線グラフ化し、過去の焙煎データと重ねて差異を確認。気温や気圧の変化があってもグラフが同じ曲線を描けば同じ味を再現できます。
強風の場合、煙突内の空気が引っ張られ強制排気状態に。風量を可視化していないと同じ操作でも焙煎時間に1分以上の開きが出てしまいます。
熱量そのものを数値化し、温度変化による空気の膨張率も全て計算。急激な気温変化でも+-10秒程度の誤差で焙煎可能。グラフ曲線が同じならカッピングなしでも100%同じ味になります。
焙煎機の操作は「火力」と「排煙」の2つだけ。しかし「時間」が加わることで無限のバリエーションが生まれます。
通常の焙煎機はガス圧計とダンパーで調整しますが、同じ操作をしても温度変化で「熱量」「風量」が変わるため、毎回同じ味になりません。これが「店によって味が変わる」最大の原因です。
焙煎後に10gを中細挽きにし150ccのカップでカッピング。一定条件で品質を評価し、いつも同じ味を再現する必要があります。
風が強い日は煙突内の空気が引っ張られ、すごく小さな環境変化でも焙煎に与える影響は大きい。1つのファクターの違いで味が大きく変わってしまいます。
キャニスターより、コーヒー袋のまま空気を抜いてジップを閉める方が鮮度が長持ちします。
保存ビンやキャニスターは豆の容量が減るにしたがって内部の酸素量が相対的に増えるため、豆が減るほど酸化が早まります。コーヒー袋のまま空気を抜いてジップを閉める方が鮮度劣化を抑えられます。
極端に焙煎度の違う豆同士をブレンドするのは難易度が高く、お互いの個性を消してしまったり突き刺すような酸が出ることも。なるべく焙煎度が近い銘柄(色が同じくらい)で揃えましょう。
豆の表面のツヤは「コーヒーオイル」という脂分。深煎りで細胞が膨らみ表面に浮いてきます。品質には問題ありません。
深煎りにすることで豆の細胞が大きくなり、コーヒーオイルが表面に浮いてきます。銘柄特有のものではなく焙煎度の問題で、深煎りの銘柄は全て同じような状態になります。
ミル自体に悪影響はありませんが、脂分でミルに粉が付着します。長期間使用しないとミルに残った脂分が酸化して味に悪影響を及ぼすので、使用後はティッシュで清掃しましょう。
フィルターを最後まで強く押し込まないことが雑味を防ぐ最大のポイントです。
フィルターを押し下げる際に最後まで強く押し込むと雑味が抽出されます。フィルターが底に付いたところでそれ以上押し込まないようにしましょう。底の方のコーヒー液は過抽出気味で微粉も多いです。
2杯分抽出して1杯だけ先に飲み、残りをプレスに入れたままにすると過抽出になります。先に2杯とも別の容器に移してから召し上がりましょう。
1人前7〜8g程度。計算式は「注ぐお湯の量÷145cc×7g」。例えば350ccのお湯なら約17gの粉を使用します。
細かく挽きすぎると炭酸ガスが飛び、表面張力でお湯が浸透しにくくなり、抽出ムラの原因になります。
コーヒー豆を細かく挽きすぎると炭酸ガスが飛んでしまい膨らみません。また表面張力でお湯が浸透しにくくなり、表面だけ過抽出で中心部は抽出不足という抽出ムラが起きます。
電動式ならカリタのナイスカットミル、手動式ならカリタ・メリタ・ハリオ・ザッセンハウスのメーカーが安心。安価な手動ミルは極端に粗くなったり細かくなったり調整が効かない場合があります。
マグカップは通常カップの1.5〜2倍の容量。10ccあたり1gの豆が目安です。
マグカップは商品によって容量が180cc〜250ccと大きく変わります。一度使用しているマグカップの容量を計ってみることをおすすめします。目安は10ccあたり1gの豆を使用し、好みに合わせて増減調整しましょう。
カリタ(円錐型)はすり切り約10g、メリタ(逆三角錐型)はすり切り約8g。メーカーによって容量が異なるので注意。大さじのすりきり1杯で約8gでも代用できます。
本格ミルはボンマック・ナイスカットミル・みるっこの3択。保温は濃縮コーヒーの急冷がベストです。
ボンマックとカリタ ナイスカットミルは「カット式」で味の変質が少なく、フジローヤル みるっこは「グラインド式」でまろやかな口当たり。いずれも業務用に遜色ない均一な挽き具合です。
熱い状態での品質維持は不可能。濃縮コーヒーを作り急冷すると品質劣化が最も少ない。コーヒーが熱くなっている時間を減らせば減らすだけ品質劣化は防げます。
渋みや苦みの原因は「過抽出」の可能性が高い。応用編の抽出方法で改善できます。
コーヒーの抽出は過抽出にならなければネガティブな味は出ません。薄いだけで雑味は抽出されていない状態のほうがまだマシ。雑味が出る場合、豆の品質と焙煎が適切なら過抽出以外に原因はありません。
美味しい成分だけが抽出される前半で抽出を終え、豆の量を1割程度増やして濃度を補います。20gで足りなければ23gの豆を使用し、確実に過抽出にならない段階で抽出を終えることでクリーンなコーヒーになります。
「コーヒーの香りはこのようなものだ」と脳が決めつけているため、新しいフレーバーを除外してしまうことがあります。
「本来のコーヒーの香り=今まで飲んできたコーヒーの香り」という先入観があるため、中煎りのスペシャルティコーヒーのフルーツを思わせるフレーバーが全く感じられないことがあります。長年深煎りを飲んできた人に特に多い傾向です。
カッピングセミナーに回を重ねて参加するうちに、ほぼ100%の参加者が目隠しテストで正しい品質評価ができるようになります。先入観を取り払って楽しむことで新しい発見があります。
コーヒーの味や香りは温度とともに変化します。成分やフレーバーごとに感じやすい温度帯が異なります。
品質評価でも高い温度帯と低い温度帯で評価する項目を狙い撃ちします。フレーバーや酸の質は高温時、マウスフィールや甘さは低温帯の方が分かりやすいです。
特にクリーンカップ(透明感)は冷めてきてから顕著に感じやすくなります。高温で魅力的でも、冷めるとクリーンカップに問題が出る銘柄は販売見送りとなることもあります。
日本の検疫基準はアメリカの600倍厳しく、人体への影響は考えにくいというのが内倉さんの見解です。
収穫後に散布される農薬「ポストハーベスト」は通関時の検疫で管理されています。スペシャルティグレードの銘柄ではくん蒸処理はほとんどありません。
無農薬栽培でも管理が悪いと植物がストレスで「天然農薬」を体内に生成します。カリフォルニア大学の研究では、人間が摂取する農薬の99.9%以上が植物由来の天然農薬であるとの論文も発表されています。
品種・精製方法・焙煎度で味が大きく変わるため、銘柄名だけで近い味を案内するのは難しいとのこと。
同じ豆でも「ウォッシュト(水洗式)」と「ナチュラル(自然乾燥式)」で味がかなり変わります。焙煎度が違うだけでも同じ豆とは判別がつかないほど変化します。「ティピカ種」で浅めの焙煎度で探すと近い味わいが見つかるかもしれません。
ハワイコナは毎年サンプルを評価していますが、200gで3,000〜4,000円の価格帯に。同じ品質スコアで約3分の1の価格で提供できる銘柄が多数あるため、販売は厳選しています。
カップの事前温めはOK。でもコンロでサーバーを熱しながらの抽出はNG。飲みごろは40〜60度です。
コンロでサーバーを熱しながら抽出するとサーバー底面の温度が高すぎて品質が劣化します。再加熱は電子レンジで60度程度ならそれほど問題ありませんが、アツアツにすると品質劣化は覚悟が必要です。
粉の挽き加減が粗くなると酸味は感じやすくなります。また湯温が低すぎても酸の抽出は行われるため相対的に酸が強く感じることがあります。酸味が苦手なら深煎りの銘柄に変えるのもおすすめ。
よりクリーンなコーヒーには「応用編」の抽出方法がおすすめ。微粉の影響と過抽出を同時に解決できます。
微粉は粒が小さいため先行して抽出が進行し、抽出後半には好ましくない成分まで抽出されてしまいます。微粉そのものは悪ではありませんが、抽出の先行がネックです。
抽出時間を1/3程度に短縮し、好ましくない成分の抽出量を大幅に減少させます。濃度はそのままで良い成分だけを取る方法で、薄めるアメリカンとは抽出される成分も濃度も目的も全く違います。
焙煎度によって同じ体積でも重量が異なります。正確には料理用計量器で都度計るのが理想です。
コーヒー豆は焙煎時の水分の抜け方で「カサ(体積)」と「密度」が変わります。浅煎りは水分が残り細胞密度が高く重い。深煎りは水分蒸発で細胞が膨らみ体積は大きいが1粒は軽くなります。
深煎り豆は細胞が大きく膨らんでいるため、お湯をかけた時の接触面積が増えます。そのため抽出効率がよく浅煎りより濃く抽出できますが、体積が大きい分、見た目で同じ量でも実際の重量は少ないことがあります。
1人分の抽出はプロでも難しい。粉の層が薄くなり抽出不足が起きやすくなります。
粉の量が少ないと粉の層が薄くなり、ドリッパーの淵からお湯が流れて抽出不足が起きます。また注ぐお湯の量も少ないためドリッパー内にかかる水圧が下がり、成分抽出不足の原因になります。
応用編の抽出方法で2人前以上を抽出。1杯はすぐ飲み、残りは高濃度コーヒー液のまま冷まして保存。飲みたい時にアツアツのお湯を注げば、温度も丁度良く美味しいコーヒーが出来上がります。
濃縮コーヒーを作って薄める方式は「邪道」に見えても、クリーンカップが明らかに違います。
理想的な可溶物抽出率は20%程度。これ以下だと良質な成分が十分に抽出できず、以上だと過抽出で雑味が出ます。きゃろっとの実店舗では2.5〜3倍程度の濃度のコーヒー液を抽出しお湯で割って提供しています。
水出しコーヒーは鮮度劣化やクリーンカップの面で優れていますが、一定の温度を超えなければ抽出不可能な成分があるため、いくつかの香味・風味成分が抽出されません。好みで選びましょう。
挽き加減はお店ごとに基準が異なります。ミルのメーカーや焙煎度で抽出効率が変わるため、そのお店の基準に従うのがベスト。
使用するミルのメーカーによって同じ「中挽き」でもメッシュにバラつきがあります。極端な例では、ある店の「粗挽き」が別の店の「細挽き」になることも。そのお店の基準に従うのが最も美味しく召し上がれます。
前回の使用から時間が経過し洗浄が不十分だった場合、フィルターに残ったコーヒーの脂分が酸化してコーヒーの味に悪影響を与えます。この酸化臭を「金属臭」と感じるお客様もいます。洗いすぎてもコーティングが取れて金属臭が付く場合があります。
ネルドリップ、プレス、金属フィルター、ペーパードリップは適切に行えばそれぞれ美味しく淹れられます。サイフォンやパーコレーターは構造上、美味しく淹れるのは困難とのこと。
毎日もしくは3日に1回程度の頻度ならミル内のカスは循環するので軽い掃除で問題ない。
ご質問頂きましたコーヒーミルですが毎日もしくは3日に1回程度のペースでコーヒーを挽くのであれば軽く掃除をするだけで問題ありません。
毎日使用することでミル内のカスは循環しますので味に悪影響を与えることはないと考えて良いです。
ただ、1週間以上ミルを使用しなかった場合は、ミル内のカスが酸化していますので、念入りに掃除してから使用して下さい。
また、長期間使用しなかった場合は、ちょっともったいないのですが、使用前に3g程度のコーヒー豆を挽くと良いです。※挽いた3gのコーヒーは、捨てて下さい。
次にフィルターですが、これは実際にどちらも使用して飲んでみて美味しいと感じる方に決めた方が良いかと思います。紙フィルターもパーマネントフィルターも素材や保存状態によって後発的にもかなりコーヒーの味に影響を与えてしまいますので実際に飲んでみるのが一番です。
ペーパーフィルターでオススメは最も一般的な「カリタ」というメーカーのフィルターです。※赤いチェックの箱のフィルターです。ホームセンター等で売っています。
逆に、あまり大きな声で言うと問題あるかもしれませんが当店のコーヒーを楽しむ前提で考えると「メリタ」のフィルターは、避けた方が良いと思います。紙の臭いが強すぎて、コーヒーの味がかなり変わってしまいます。(あくまでも僕の個人的な見解です)
コーヒーメーカーで雑味が出る最大の難点は、抽出後もペーパーフィルターが残り続けること。
コーヒーメーカーで抽出する場合、雑味が抽出されてしまう最大の難点が抽出後のペーパーフィルターがずっと残ってしまうという点です。少し面倒ですが、これを防ぐには、抽出が終わった段階ですぐにペーパーを取り除くことが重要になります。
コーヒーの抽出というのは実は前半の抽出でほとんどの成分の抽出は終了しています。つまり、抽出の後半というのは、極端に言えば出がらしの粉にお湯を掛けて、雑味を一生懸命抽出している状態ということです。
これを利用して、素晴らしくクリーンなコーヒーを抽出する裏技的な方法もありますので、下記をご参考にして下さい。
1、コーヒーメーカーで蒸らしを行い通常通り抽出して下さい。
2、目的の抽出量の「半分〜3分の2」くらいになったところでスイッチを切ってしまい、コーヒーメーカー内のペーパーを取り除きます。
3、またスイッチを入れて目的の量まで抽出して終了です。
上記の場合、3以降のペーパーを取り除いた後はお湯だけをコーヒーに注いでいることになります。「薄くなるのでは?」と思うかもしれませんが先ほども説明したように、コーヒーの抽出は前半で物凄く濃度の高いコーヒーが抽出されておりますので半分以降にお湯で薄めても出来上がりのコーヒーの濃度はほとんど変わりません。
2番で「半分〜3分の2」としていますのは、機種によって抽出のスピードが違うためです。目安として、2人前の抽出で抽出時間が3分以上かかる機種であれば、半分で止めて下さい。それより短い時間で抽出が終わってしまう機種であれば3分の2程度までは抽出して下さい。
この方法で抽出すると後半の雑味が抽出されませんのでとてもクリーンなコーヒーになります。
一度初心に返り抽出理論を白紙にして基本を忠実に行うのが良い。
抽出で悩んでしまったときは、一度初心に返るのも良いかもしれません。つまり、自分の中での抽出理論は一旦白紙にして、下記を忠実に行ってみてください。
【ペーパードリップでの淹れ方(240cc抽出)】
・粉の量をしっかりと測る
メジャースプーンの場合はすりきり1杯が1人前です。メジャースプーンが無い場合は、大さじ山盛り1杯が1人前です。
・豆の挽き加減は、中細挽き程度で
・お湯の温度は低すぎず、高すぎず(85度以上、90度未満)
※絶対に沸騰した熱湯を注がないで下さい。また低すぎても抽出不足になります。
・抽出の方法は当店の動画を参考にして下さい
最後に、コーヒーの抽出は、1人前よりも2人前以上の方が抽出ムラがなく、抽出が簡単になりますから、2人前以上で抽出を行ってみてください。
上記を忠実に守れば、抽出が失敗するということはまず考えられません。ですから上記を行っても味が悪いという原因は、ペーパーフィルター事態に匂いが付いていて悪影響を与えているか、使用する水が悪い。またはコーヒー自体の好みの問題となります。
※ペーパーは最も一般的なカリタ製のものであれば間違いありません。
では、この内、珈琲がおいしくないと感じる原因はどれなのでしょうか?それを判別する最も簡単な方法は、僕たちコーヒー屋がコーヒーの品質鑑定の時に行う「カッピング」という方法です。
簡単ですので、一度お試しください。
■150cc程度入るグラスを用意する。
■挽いたコーヒー豆10g程度を用意する
1、グラスに粉を入れます。
2、90度程度のお湯を150cc程度勢いよく注ぎます。※粉にお湯が行き渡るように
3、そのまま4分間待ちます。
4、スプーンで3回ほどかき混ぜます。※こうすることで、上に溜まっている粉がカップの底に落ちていきます ※絶対に沢山はかき混ぜないで下さい(過抽出になります)
5、カップの上部に粉がまだ残っていれば灰汁取りの要領でスプーンで取り除いてください
6、こうしてカップに残った液体の上澄みを飲んでみて下さい。
こうして抽出したコーヒーを飲んでみてそれでも美味しくないと感じるようであれば、残念ながらその銘柄、もしくは当店のコーヒー自体がお口に合わないと思ってよいと思います。
逆にこれを飲んでみて「美味しいな」と感じたのであれば抽出時のペーパーが原因の可能性が高いです。ペーパーを替えましょう。水が原因ということも考えられますので市販の軟水を使用して行えばより確実です。
深煎りになるほど酸味がなくなり濃度が濃く苦みが強くなり、浅煎りは逆。
1つ目のご質問ですが、焙煎と味との関係ですが、細かく説明すると丸1日かけても語りつくせませんので一般的で大まかな説明をしますね。
まず、焙煎度による味の変化ですが深煎りになればなるほど「酸味がなくなり」「濃度が濃くなり」「苦みが強く」なります。逆に浅煎りになるほど「酸味が強くなり」「濃度が薄くなり」「苦みが少なく」なります。上記の原則を覚えておけば、コーヒー選びの参考になると思います。
ただ、上記はあくまでも大まかな原則でして例えば全く同じ焙煎度同じ豆でも、焙煎時の焼き方によってまるっきり違う味のコーヒーになります。
火力、排気、焙煎時間の調整によって「浅煎りでも酸味を少なめに」「深煎りでも苦みを少なめに」「香りを良く出す焙煎」「口当たりを良くする焙煎」などなど、無限ともいえるほどの方法があります。
次に2つ目のご質問ですがコーヒを落とす際の粉の量と味の関係です。これも焙煎度合と関連性が深いですが、大まかには深煎りの豆ほど豆の細胞が良く膨らんでおりますので抽出効率が良く、濃度が高くなります。浅煎りは逆で、濃度が薄いコーヒーになります。
つまり、全く同じ濃さのコーヒーを抽出しようと思ったら深煎りの方が粉の量は少なくて済むということになります。
ただ、深煎りと浅煎りで全く同じ濃度にする必要はなく深煎りのコーヒーは濃く抽出した方が美味しいですし浅煎りのコーヒーは薄い抽出の方が向くので焙煎度によって、粉の使用量を変えなくても問題ありません。
※あとは好みの問題となります。
コーヒーは嗜好物のため店の味作りが重要で、お客様の嗜好との兼ね合いに悩むことが多い。
このお客様のおっしゃる通り、コーヒーは嗜好物のためそのお店の味作りが重要なポイントとなります。
コーヒーの焙煎は自分の出したい味と個々のお客様の嗜好との兼ね合いもありますから特に昔は「味の落としどころ」に僕も非常に悩みました。
1杯のコーヒーでもお客様の感じ方は様々ですよね。「焙煎時にこうすれば、このお客様の望んでいる味は出せる。けれどもこれをやってしまうと、自分のイメージした味とは、ずれてしまうし今までの味に賛同して頂いたお客様との嗜好とも合わないコーヒーになってしまう。さて、どうしようか・・・」以前はこんなことばかり考えていました。
当店をご利用のお客様の中には当店の味にご満足頂けない方というのも確かにいらっしゃいます。そして、時には「この店のコーヒーが美味しいから飲んでみて下さい」というようなご指摘も頂くことがございます。
ただ、結論から言ってしまうと、ご指摘いただくお店と同じような味のコーヒーは実をいうと、作れます。焙煎の方法によって、同じように煎ることが可能です。焙煎の理論が分かっていれば、そのコーヒーを飲むだけでどのように煎られたコーヒーなのかがある程度分かるようになるんです。
でも、やりません。それは何故か?それは、僕の作りたいコーヒーの味とは違うからです。
先ほどもお伝えしたように、昔はそういったご意見をお聞きするたびに「すべての人に合わせる為にはどうすれば良いか?」ということばかり考えていました。でも現在は、どちらかというと自分の創りたいコーヒーの味にかなりウエイトを置くようになりましたので昔に比べると精神的には大分楽になりました(笑)
そして、そうすることで結果的により多くのお客様に、ご賛同頂けるようになりました。結局、全てのお客様の味に答えようとすると、どんどん特徴のない「飲みやすいだけ」のコーヒーになってしまうんです。
そういうコーヒーは、大手のメーカーさんに任せて、自分は、自分の創りたい味のコーヒーを焙煎することで賛同して頂けるお客様に少しでも幸せな時間を提供できればと考えるようになりました。
コーヒーは、難しいけど面白い。本当にその通りだと思います。
ミルに付着することを考えれば挽いた後に計った方が正確だが、基本的には豆の状態で計り、挽いたものを使用して問題ない。
>豆をミルに入れるときスプーン(7g)で豆そのものを入れてミルに入れるのか
>あるいは、だいたい7g豆を挽いて後でもう一度スプーンで7gをぴったり計って
ミルに付着することを考えれば挽いた後に計った方が正確ですが基本的には豆の状態で計り、挽いたものを使用して問題ありません。
それよりもコーヒーメーカーで味が変わる原因として考えられるのは使用しているペーパーフィルターです。ペーパーはメーカーによってはかなり紙の匂いがきつくコーヒーの味に悪影響を与える場合があります。
フィルターのオススメは「カリタ(赤いチェックの箱)」のフィルターです。※ホームセンター等で売っています。カリタノフィルターは紙の臭いが少ないためコーヒーの味を素直に出しやすいです。
コーヒーメーカーは色々な種類があるかと思いますが機械専用のフィルターでなくてもサイズが合えば使用できますのでお試しください。
ペーパー式ではなく金属フィルター式のコーヒーメーカーをお使いの場合は鍋に中性洗剤とたっぷりのお湯を入れ、20分程度煮沸すると酸化して、こびりついたコーヒー油分を取ることができます。※この酸化した油分もかなりコーヒーの味に悪影響があります。
次にモカですが、一口にモカマタリと言っても、銘柄や焙煎度によってかなり出来上がりの味は変わってしまいます。
苦みや焦げ臭さは焙煎度が深いか、焙煎時の排煙が悪い焙煎時間が適切ではないというのが原因です。※焙煎の深さはお店の味作りの方向性によるものなので深い焙煎が間違っているということではございません。
渋みが強いのは、モカマタリの中でも低級品を使っているか焙煎時の生焼け(豆の芯まで熱が通っていない)もしくは抽出時に豆を細かく挽きすぎているため過抽出になって雑味まで抽出されている恐れがあります。ただ、原因としては、前者の2つが原因の場合が多いです。
1〜2日程度で使用するなら解凍されても問題ない。
外で飲むコーヒーは美味しいですよね。
冷凍保存したコーヒー豆を持ち出す場合ですが1〜2日程度で使用するのでしたら解凍されてしまっても問題ございません。
冷凍した場合に、何が問題になるのかというと冷凍時に、豆内部の水分が膨張し、豆の細胞を破壊します。破壊された細胞も冷凍状態では問題ありませんが一旦解凍すると、細胞が壊れることでうまみ成分も溶け出して表面にでてきます。
解凍後1〜2日以内に抽出する場合は、溶け出したうまみ成分も一緒にお湯で溶かしてしまいますので全く問題ありません。
ですが、このうまみ成分にはコーヒーの脂分も含まれていますため溶け出した状態で常温保存すると、酸化してしまい、嫌な風味が出てきてしまいます。
ですから、一旦冷凍したコーヒー豆は解凍 → 冷凍の繰り返しは避けた方が良いです。生鮮食品すべてに言えることですが、冷凍→解凍を繰り返すと急激に鮮度が劣化します。コーヒーも一緒と考えると分かりやすいかもしれませんね。
>必要な分だけを冷凍庫から取り出し真空パックにして持参すれば大丈夫ではないかと考えているのですが
例えばキャンプなどで長期間外出する場合は有効な方法です。真空することでコーヒー豆の酸化を防ぐことができます。
焙煎が進むほど香りの多様性は少なくなるが、深煎りはナッツ系風味が強くなる。
コーヒー豆は焙煎が進めば進むほど、香りを構成する成分の多様性は少なくなります。ただ、深煎りの方がいわゆる「ナッツ系」の風味は強くなりますのでこの辺はお客様の好みによって、分かれるところなので色々なものを試すのが良いかもしれません。
当店では昔コーヒー教室を行っていたのですがお客様の香りや味の感じ方というのは本当にそれぞれです。例えば、中煎り、深煎りの同じ銘柄のコーヒーを飲んで頂いても「中煎りの方がものすごく香りがして、深煎りは香りが感じられない」というお客様もいれば「中煎りは全く香りがしないが、深煎りはすごく香りが強い」というお客様もいます。このように、同じ豆を飲んでも、感じ方は本当に人それぞれなんですね。
他にも、当店では深煎りの豆でもスモーキーな香りはなるべく出さないように焙煎しておりますがこの「スモーキーな香り=コーヒーの香り」と考えてらっしゃるお客様もいらっしゃいますのでそういうコーヒーをお求めのお客様の場合は、当店のコーヒーはお口に合わない場合もあります。
これは、そのお客様の今までの食生活やコーヒー歴によって「感じられる香りや味の属性が違うため」と考えています。
また、一般的に言われる「コク」という表現も実は非常にあいまいで単純に「濃度」だけでみれば深煎りコーヒーの方が同じ豆の使用量で濃く抽出されます(豆の細胞が開いているため抽出効率が良い)
でも、コーヒーというのは、濃度が低くてもマウスフィールがバターのような銘柄やボディの強いコーヒーは「コクのあるコーヒー」ということもできます。逆に、抽出濃度は高くでも、シルクのようなマウスフィールのコーヒーはコクは弱く感じます。
当店の商品ページでも「コク」という表現は使用していますがこれは、マウスフィールやボディ感、抽出時の濃度を総合的に判断して付けています。単純に「濃度=コク」とは言えないということですね。
生豆は水分が抜けて味が変化するが、収穫から1年以内であれば差はわからない程度。
コーヒー豆ですが、生豆の状態でも水分が抜けていきますので当然味は変わっていきます。ただ、収穫から1年以内であれば、味の差は分からない程度です。
収穫から2年ほど経つと、銘柄によっては干し草やワラようなフレーバーが出てきます。逆に、収穫から1か月など、豆が新しすぎても水分量が多すぎて良い結果にならない場合もあります。
さらに、産地、銘柄、品種、精製方法によっても水分の抜け方は違ってきます。
当店の場合、ホームページには表記しておりませんが定番銘柄も全てその年の最も新しいロットを使用しております。定番銘柄でも常に同じロットではなく、毎年収穫される豆のうち、現在手に入る中で収穫後最も新しい豆を使用しております。
つまり、当店の定番銘柄も毎月入荷する豆と同程度の鮮度のものを使用しているということですね。
お湯だしアイスは急激に酸化するので翌日まで保つのは難しい。
まず、アイスコーヒーの保存方法ですがお湯だしのアイスコーヒーの場合、抽出時にお湯の熱によって急激にコーヒーが酸化してしまいますから、翌日までおいしさを維持するのは難しいかと思います。水出しアイスコーヒーの場合は、熱による酸化がありませんので1週間程度は保存しても問題ありません。
>少し濃いめにおとして、熱いまま、氷を入れたグラスに入れて飲んだのですが、香りがとんでいるように感じたのですが、なにが原因なのでしょうか。
熱い状態と比べて香りが少ないと感じるようでしたら正常です。香りの成分というのは揮発性の成分のため、温度が高い方が感じやすいです。他の原因としては、氷によって、コーヒーが薄まりますから濃度が低くなり、カップから立ち上るコーヒー成分の量が減少するということもあります。いずれにしても、ホットと同じ状態の香りをアイスコーヒーで出すというのは難しいかと思います。
アイスコーヒーの入れ方ですが、下記をご参考に入れてみて下さい。
1、コーヒー豆は通常のコーヒーの2倍の量を使用する(2人前であれば、通常20gのところをアイスは40g使用します)
2、サーバーに氷を多めに入れてドリッパーをセットして抽出して下さい。(蒸らしの時間を合計40秒程度とってからお湯を細く出しゆっくりと抽出)
3、サーバーの目盛りが「4人前」のところで、抽出を止める※氷の体積分があるため、コーヒー液量そのものは2人前程度となります
豆を多く使用するのは、コーヒー液が氷によって解けてしまい通常の豆使用量ですと薄くなってしまうためです。ポイントとしてはサーバーに直接氷を入れて急冷してしまうことです。これによってすこしでも熱による酸化の時間を短くします。
抽出方法はペーパー/ネル/カフェプレス/サイフォンの4つだが、サイフォンは難しいので実質3択。
抽出方法は、一般的に、ペーパードリップ、ネルドリップ、カフェプレス、サイフォンの4つの抽出方法に大別できます。
ご質問の件ですが、抽出方法は僕の意見にそのまま従うよりも上記をすべて試してみて、一番おいしいと思う抽出方法をご自分で決めるのが一番かと思います。ただ、サイフォンは構造上、おいしくコーヒーを入れるのは難しいと思いますので実質はペーパー、ネル、カフェプレスの3択にした方が良いかもしれません。
ゴールドフィルターでも良いですが、管理の手間を惜しまないのであればネルドリップをお勧め致します。
ペーパー、ネル、プレスの違いですが、最も顕著に違うのがコーヒーオイルの抽出量です。最もオイルをたくさん抽出できるのはカフェプレスで、ペーパーはほとんどオイルを抽出できません。ただ、プレスの場合、抽出方法がネルやペーパーとは違う「浸漬法」という方法のためコーヒーの濃度ではネルドリップが一番濃く抽出できます。
オイルの量 プレス > ネル >>> ペーパー
抽出濃度 ネル >>> プレス > ペーパー
あとは好みです。ペーパーはオイルの量、濃度ともに少ないです。
次に、デメリットとしましてはカフェプレスの場合、抽出の構造上どうしても微粉がコーヒー液に混ざりますので濁ったコーヒーになります。ネルは、毎日煮沸し常に水に漬けておくという管理が少し面倒です。ペーパーが使い勝手としては一番簡単ですが場合によっては紙フィルターの匂いが珈琲に付いてしまったり濃度も薄いコーヒーになります
専門店で勉強するのも良いかと思いますが、その時に大事なのは「自分がコーヒーが美味しいと思うお店で学ぶ」ことです。コーヒー屋というのは、そのお店ごとに抽出理論や焙煎理論がかなり違うため間違ったお店で勉強すると逆効果です。
ただ、個人的には抽出に限って言えば修行に行くほど難しいことではありません。ミルを均一に挽けるもの(カリタのナイスカットミルなど)を使用し粉の量を計量機でしっかりと図り、抽出量もしっかりと計れば安定した味を出せます。逆に上記の3点をきちんとやらないとどんなに抽出技術だけを勉強しても毎回違う味になってしまいます。
ですが、上記をしっかりと行っているコーヒー屋さんというのは実はあまりありません。粉の使用量に関してはメジャースプーンだけで計るところがほとんどですしコーヒー抽出量の計量も、多くの店は細かいメモリの付いていない普通のコーヒーサーバーを使用しています。また、老舗のネルドリップで入れるコーヒー屋さんでは抽出メモリも何も付いていない、銅鍋などに抽出するお店もあります。
例えば、粉の使用量ですが「1人前10g使用」と「12g使用」ではあまり違いのないように思いますが出来上がりは20%もコーヒーの濃度が違うことになります。でもこの2gの差というのは、メジャースプーンでの目分量では豆の焙煎度や銘柄によって、簡単にずれてしまいます。また、抽出量も10gで150cc抽出した場合と、180cc抽出した場合では20%濃度が違うコーヒーになります。上記が合わさると実に40%もの濃度の開きがあることになります。
新鮮でも膨らまない原因は4つ:ハイロースト以下の浅煎り、極端に細挽き/粗挽き、パックが空いたまま保管、蒸らし時のお湯温度が85度以下。
新鮮なコーヒー豆は通常お湯を注ぐと蒸らしの時にモコモコと膨らんできます。でも「新鮮な豆なのに膨らまないよ」という場合は、下記の原因が考えられます。
・ハイロースト以下の浅めの焙煎度の銘柄の場合
・豆を挽くときに極端に細かい、もしくは極端に粗い
・パックが空いたまま保管した
・蒸らしの時のお湯温度が低すぎる
▼ハイロースト以下の浅めの焙煎度の銘柄
ハイローストよりも浅めの焙煎度の銘柄は、豆の細胞密度が高いため炭酸ガスが入る隙間が少ないので、焙煎直後でも膨らみは弱く膨らまなくなるまでの日数も短くなります。逆に深煎りの豆ほど良く膨らみます。
▼豆を挽くときに極端に細かい、もしくは極端に粗い
コーヒー粉が膨らむ原因は、豆の内部の炭酸ガスがお湯を注いだ時に放出されるためです。ですが、豊富に豆の内部に炭酸ガスが含まれている状態でもミルで粉砕するときに細かく挽きすぎると、当然炭酸ガスも一緒に急激に放出されてしまいます。極端に粗く挽きすぎて膨らまない場合は、コーヒーの粒そのものが粗すぎて断面からお湯が入っていけずに膨らまないことがあります。
▼パックが空いたまま保管した
コーヒー豆は焙煎後から常に炭酸ガスを放出し続けます。密閉容器などに入れて空気が逃げないように保管するか当店のコーヒー袋をしっかりとジップして保管すると焙煎度にもよりますが1か月以上はお湯を注ぐと膨らみます。ですが、パックに空気が入るような状態で保管すしてしまうと数日で炭酸ガスが完全に抜けてしまい。膨らまなくなります。
▼蒸らしの時のお湯温度が低すぎる
抽出時のお湯の温度が85度以下になってくると特に中煎りよりも浅い焙煎度の豆はほとんど膨らみません。
コーヒーの膨らみは「豆の鮮度を見極めるための、一つのものさし」程度と考えてください。よく膨らむ=新しいというのは間違いありませんがひとつの目安ですから、膨らまない=豆が古いと決め付けないことが重要です。※完璧な焙煎をした浅煎りの豆の場合でも、焙煎直後ではほとんど膨らみません。
次に、膨らみとコーヒーの味との関連性ですが極端な話、どんなにへたくそな焙煎でも、中深煎り程度に煎ればものすごく良く膨らみます。これは焙煎度の問題ですから、味とは全く関係がありません。「膨らむ = 鮮度が新しい」と考えるのはOKですが「膨らまない = 古い」とか「よく膨らむ = 美味しい」という考え方は基本的には間違いです。「膨らまない = 古い可能性がある」ということはできますが、あくまでも可能性があるだけで膨らまないことで古いと断定することはできません。
酸味を少なくしたい場合は豆を細かく挽くと良い。
当店の豆はすべての銘柄が酸味を活かした焙煎となっておりますが豆の挽き加減によって、ある程度のコントロールが可能です。まず、もう少し酸味を少なくしたいな~という場合の対処法です。
▼豆をいつもよりも細かく挽いてみる
豆を細かく挽くということは、コーヒーの抽出効率が上がりますからコーヒーの濃度は濃くなります。濃度が高くなるということは、当然成分の抽出量が多いということになります。ということは、酸味の抽出量も増えるということですね。
でも、ここで疑問です。「酸味の抽出量が増えるなら、酸味が強くなってしまうのでは?」その通りです。酸味の抽出量そのものは、粗く挽いた場合よりも増えます。ですが、出来上がりのコーヒーの味は細かく挽いた方が酸味が少なく感じるんです。なんだか矛盾していますね。
これは何故か?答えは「酸味の抽出量も増えるが、その他の成分の抽出量も増えるため、相対的に酸味が感じにくくなる」ということです。
酸味という成分はコーヒーの他の成分に比べると非常に溶け出しやすいという特徴があります。通常、粗挽きにすると、成分の抽出効率というのは悪くなります。薄いコーヒーになるということですね。ですが、酸味に限っては、粗挽きにした場合でも良く溶け出してしまうんです。
たとえば「粗挽きで抽出したコーヒー」の成分の量が
コーヒーの濃度 = 10(5+5)
これと比較して「細挽きで抽出したコーヒー」の成分量は
コーヒーの濃度 = 15(6+9)
になったとしましょうか。
※数値はわかりやすくするための例です。
上記の場合は、粗挽きの時に比べると細挽きの方が、酸味、その他成分の抽出量共に増えていますね。ですがこれを、味の成分の構成比でみてみると
▼粗挽きのコーヒー濃度10に対して
・酸味の構成比 50%
・その他の構成比 50%
▼細挽きのコーヒー濃度15に対して
・酸味の構成比 40%
・その他の構成比 60%
となります。上記の場合、細挽き時の方が、酸味の抽出量自体は増えているのですが濃度に対しての酸味の「構成比(割合)」は低くなっています。つまり、細かく挽くことによって、酸味以外の他の成分の抽出量が増え相対的に酸味が感じにくくなるということですね。
その他の原因としては、ミルの粉砕時による熱変化が考えられます。簡単に言うと、粉砕時の摩擦熱によって、豆が焙煎されたような状態となり。酸味が少なくなる、ということです。粗挽きよりも、細挽きの方が、より摩擦は強くなりますから酸味の量が減るということですね。他の成分に比べて、酸味の抽出量の増加が低いのはこれが理由かもしれません。
コーヒーの品質はその地域の生物多様性と密接に比例する。
本日は、コーヒーの品質と生物の多様性の関係についてお話したいと思います。コーヒーの品質というのはその地域の生物の多様性(種類の多さ)と密接な比例関係にあります。
簡単なチャートにすると…多様な生態系がある(沢山の種類の生物が生息している)→生物にとって環境が良いということ(食べ物が沢山ある)→その地域の土地が肥沃だということ(食物が沢山育つ)→品質の良いコーヒー豆が育つ、ということになります。
つまり「良い環境を守る」ということが品質の良いコーヒーにつながるということなんですね。ですから品評会などで常連の高品質豆を送り出す農園のというのは環境にも優しい農園経営をしているところが多いです。
環境を守り、かつ良質な豆を作るということは生産者にっとってはコスト的にも労力的にも多大なものだと思います。だからこそ、我々消費者は、安く買い叩くのではなく全てをひっくるめた適正な価格での取引は絶対条件だと思います。
現在日本では、コーヒー豆の高騰が取りざたされていますね。でも、ヨーロッパやアメリカなどでは、価格高騰の問題よりも環境問題の方がずっとずっと重大な問題として扱われております。
スペシャルティコーヒー先進国での考え方はこうです。「価格は高くても、適正な価格で買って当たり前。それよりも、環境破壊によって美味しいコーヒーを飲めなくなることの方がずっと重要な問題だ」
良質なコーヒー豆を生産するためには肥沃な土地が必要です。ですが、元々肥沃な土地であれば、環境を破壊しながら大量生産したとしても、5~10年程度は良質なコーヒーが収穫できてしまうんです。ただ、それをやってしまうと、いずれはその土地も枯れ美味しいコーヒーが収穫できなくなります。
元々肥沃な大地で良質なコーヒー豆を大量生産→どんどん土地が痩せて来る→良質なコーヒーが取れなくなる→環境破壊でその地域は生物が棲めなくなる→また新しい肥沃な土地を探す。このようなことを繰り返してしまうと肥沃な土地が無くなり、良質なコーヒーを生産することが出来なくなり、いずれは美味しいコーヒーを飲むこと自体が出来なくなります。
生産者、消費者のみならず、地球の環境にも優しいということがこれからのスペシャルティコーヒーに求められることなのだと思います。上記のような問題から、おそらく今後の品評会の審査項目としては「環境に配慮した農園づくりを行っているか?」ということが必須項目になるかと思います。
生豆の商社(輸入業者)のモラルも非常に重要になってきます。つまり「いくら美味しくても、環境に配慮されていなければ、買わない」という決断も必要になってくるということですね。
コーヒーメーカーは抽出温度が高温になりがちで、細かく挽きすぎると過抽出で雑味が出る。
コーヒーメーカーの場合は、製品によって抽出方法が大きく異なるため確実なことは言えませんが、概ねコーヒーメーカーは抽出温度が高温になります。そのため、あまり細かく挽きすぎると、高い温度で細かい粉を抽出するわけですから過抽出になってしまい雑味成分まで抽出されてしまうおそれがあるんです。
当店の挽き加減でコーヒーメーカー用がペーパードリップ用に比べて1段階粗い設定になっているのはこのためです。
中細挽きのご注文であまり雑味が抽出されるようでしたらコーヒーメーカー用に変えた方が良いかと思いますが、基本的には中細挽きでご注文なさってもコーヒー濃度が高くなりますがそれほど顕著にコーヒーの味に悪影響を与えることもないと思います。
ただし「極細挽き」など、極端に細かい挽き加減をコーヒーメーカーに使用するのはやめた方が良いでしょう。※雑味が抽出されすぎてしまいます。
また、逆にペーパードリップだとしても、抽出時のお湯の温度が高すぎる場合は粗めに設定しないと雑味が抽出されてしまいますので注意が必要です。
同じ抽出条件でも味が変わる主な要因は3つ。
珈琲は、カップに至るまでに様々な工程がありますので「どの部分で味が変わったのか」ということは、実際に自分で焙煎し、抽出し、飲んでみないと断定はできません。ただ、「同じ抽出条件」という条件のもとでなら大きく味が変わる原因は下記になります。
▼豆のロットによる違い
基本的にはエリアが同じ場合は、そこまで劇的に味は変わりませんが例えば、道路を挟んで隣のエリア同じエリアで味が変わる場合があります。この場合は、土の質の違いが大きな原因となります。
「一旦粉にしたもの」ですと、焙煎後1日のものと、焙煎後2週間では、全く違う珈琲になります。挽いてから一ヶ月経つと珈琲としての価値は無くなると言って良いと思います(常温保存の場合)
焙煎によっても「ほんとに同じ豆なの?」と感じるほど大きく味が変わります。焙煎はものすごくデリケートな作業です。私は勉強のために、スーパーの珈琲、シアトル系、自家焙煎店まで普段から色々な珈琲を飲むように心がけておりますが、大手のロースターで安定した焙煎が出来ているところには出会ったことがありません。
大手ロースターでは煎り止めのタイミングを「時間、火力、温度」のみでコントロールしているところがほとんどですが、煎り止めのタイミングというのは5秒違うだけで大きく味が変わってしまいます。ですから、安定した焙煎をするためには他にも数多くのファクターを管理する必要があるんです。
スペシャルティコーヒーを常飲していると全ての焙煎度の豆を楽しめるようになる傾向が強い。
この辺は極論を言うと、お客様の好みになってしまうかと思いますが私の経験からすると、スペシャルティコーヒーで正しく焙煎されたものを常飲していると全ての焙煎度の豆を同じように楽しむことが出来るようになります(そうなる傾向が強いです)
スペシャルティコーヒーという高品質な豆が生産され、日本に入り始めたのはほんの10年ほど前ですが、豆の品質は革新的なほど変わりました。本当にもう革新的なほどです。コーヒー業界の中では、インターネットになどによる「IT革命」と同じくらいのインパクトがありました。
スペシャルティコーヒー以前の日本の珈琲と言うのはどちらかと言うと味や香りの「質」ではなく味や香りが「強い珈琲 = 美味しいコーヒー」でした。当時は私も趣味で自家焙煎をしておりましたが、このご質問のように中煎りでは物足りなくなり、どんどん深煎りの豆に好みがシフトしていきました。これは日本(というか世界中で)高品質豆が極めて少なく中煎りですと「味も香りもしない」というのが主な理由だと考えております。
珈琲は焙煎を深くすると豆の細胞が良く膨らみ、柔らかくなります。そうすることで、同じお湯の量で抽出しても、中煎りよりも深煎りの方が抽出効率がよく濃い濃度の珈琲が出来上がります。ですから深煎りですと、味は濃くなり「苦味」という強くて分かり易い味覚やロースト臭もありますので中煎りでは物足りなくなってしまうのですね。
ですが、世界中の生産者が勉強し、飛躍的にコーヒー豆の品質が良くなった現在では味の「強さ」よりも味の「質」が最も重要な要素になっております。そして、味の質を最も表現できる、感じることができる焙煎度というのは中煎りなんです。
低品質豆の場合は、中煎りにすると味も香りも無く物足りないですがスペシャルティコーヒーに飲みなれると、味そのものの成分(アロマ、フレーバー、酸、ボディ、甘さ)が多いため中煎りでも十分満足できる珈琲になります。もちろん、深煎りにしても美味しい豆というのもあります。
お客様の個人差はあると思いますが嗜好の幅というのは必ず広がりますので、スペシャルティコーヒーを常飲していると全ての焙煎度の豆を楽しむことが出来るようになってくると思いますよ。
フライパン焙煎は伝導熱のみなので表面だけ焦げて芯まで焼くのが難しく、出せる味に限界がある。
ご質問の件ですが、フライパンの焙煎ですと出せる味はある程度限界があるかと思います。熱には「対流熱」「輻射熱」「伝導熱」がありまして焙煎時にはこれらの熱のバランスが重要になってきます。
フライパンの焙煎の場合は、フライパン表面が熱せられることによって鉄板が熱くなり、鉄板と生豆とが接触するときに熱移動がおきてそれによって豆が焙煎されていきます(伝導熱)フライパン焙煎は基本的にはこの伝導熱のみでの焙煎となるためどうしても表面だけが焦げ、芯まで焼くことは難しいのです。
弱火で長時間掛けて焙煎すれば水分を抜いて焼くことは可能ですが弱火の焙煎は豆が膨らまないため、カロリー不足で香りの無い珈琲になります。
市販の小さな焙煎機の方が上手に焼けるのは間違いありませんがホームセンターなどで売っている銀杏煎りで焼くとフライパンよりも美味しく焼けるかと思いますよ。
銀杏煎りの場合は、主に対流熱を利用しますがコンロの火力を常に最大にして、銀杏入りを振る高さを調整することで豆に与える熱風の温度を調整します。※弱火にしないことがポイントです。この状態で銀杏煎りは常に振った状態で合計10分程度で焙煎が終わる位を目安にやってみてください。※家庭用コンロの熱量は当然メーカーによって違うので、出来上がり時間で調整して下さい。
生豆の品質面ではかなりの差がある。
まず、一般的な業務用のコーヒー豆とスペシャルティコーヒーは生豆の品質の面からしますとかなりの差があります。スペシャルティコーヒーは「カッピング」という評価方法にて80点以上の評価を得た珈琲ですが一般流通のメインストリームコーヒーでは、例えばガテマラですと従来の生産国の評価基準での最高品質である「ガテマラSHBグレード」がカッピング評価ではおおむね70~75点程度です。
ただ、これは「生豆の品質」の話でして、コーヒーは収穫からカップに至るまでに焙煎という工程を経るため、焙煎による味の変化もかなりあります。また、鮮度も重要でして、基本的にはどんなに品質の良い豆を焙煎しても常温で1ヶ月以上経過したコーヒー豆の場合は、酸化してしまい全く品質の意味をなしません(と私は考えております)※食材が腐ったのと一緒と考えてよいです。古くなった時点で全く価値はなくなります。
例えば、焙煎後新しい「ガテマラSHB(70点の豆)」と焙煎後常温保存で3ヶ月以上経過した「品評会に入賞した最高品質のガテマラ(90点)」では70点のコーヒーの方が美味しいです。そのくらい鮮度が重要となります。もちろん、90点の豆も新しく、かつ焙煎が正しく行われていたとすれば70点の豆とは全く比較にならないほど素晴らしいコーヒーです。
業務用でもスペシャルティコーヒーは農園との直接取引にて取り扱っているメーカもあるかと思いますがこれも焙煎後新鮮なら良いですが、古くなってしまっていては価値がなくなると考えてよいと思います。また、コーヒーは同じ銘柄の豆を使用しても焙煎によって、全く味わいの違うコーヒーになります。
ただ、注意してほしいのが、品質が「良い・悪い」という評価の方法は確立されておりますがコーヒーは嗜好品ですので、その人によって「旨い、不味い」は違います。極端なことを言うと、スペシャルティコーヒーとスーパーで売られているコーヒーを目隠しで飲み比べて、スーパーのコーヒーの方が美味しいという人もいます。ですから、コーヒーを決める基準というのは、お客様がご自分の舌で確認して最も美味しいと思うものを扱うというのが1番なんですね。
炭を熱源にするのは現実的ではない。
コーヒーの焙煎において熱源として炭を利用するのは現実的ではありません。焙煎は秒単位のカロリー調整を必要とします。このタイミングが非常にシビアなため、炭を熱源としますと細かいカロリーの調整が出来ず、豆を焦がしてしまいます。
炭の使用量を最低限にして、ガスと併用するというのは可能ですが遠赤外線の利用や「燃焼温度を低く、カロリーを大量に」という炭の特性を焙煎に利用したい場合、炭を利用するよりも確実で安定した方法があります。例えば、焙煎機の釜の内側をセラミック加工することで釜が温まった際の輻射熱で遠赤外線効果を出すことができます。※当店の焙煎機もこの加工を施しております。
ただ、コーヒーの焙煎においては、必ずしも「遠赤外線(輻射熱)」だけが最も優れた焙煎であるとはいえません。釜内部のシリンダーから豆に直接伝わる「伝導熱」やガスが燃焼することによって発生した熱の「対流熱」、釜全体が温まることによってそこから発せられる「輻射熱」この3つの熱の「バランス」が重要です。どれかが突出しすぎていたり、少なすぎてもダメなんですね。
どちらかというと炭での焙煎は「炭火焙煎」という謳い文句を利用するという商売的な側面が強いと考えた方がよいでしょう。
シルバースキン除去方法として有効だが、味の変化は2度挽き自体が主因。
シルバースキンというのは、コーヒー豆のセンターカット(溝の部分)にある白い薄皮のことを言います(別名チャフとも言います)。このシルバースキン、特に浅煎りのコーヒー豆の場合、焙煎過程において完全に焼ききることができず、ミルで粉砕した際にも、白い皮のようなものが残りますね。
ご質問の件ですが、シルバースキンの除去方法としてはご連絡頂いた方法は有効です。ただ、味の変化に関しては、シルバースキンそのものが原因というよりは2度挽きしたことによる味の変化が要因のほとんどだと思います。
コーヒー豆は、ミルでの粉砕時に瞬間的にですが、豆とミルの刃との接触面の温度が数百度まで達します。これは、温度の影響が比較的少ないといわれる家庭用のナイスカットみるや業務用のミルでもいえることです。この表面温度が高温に達するというのは極端に言えば、一度焙煎されたコーヒー豆をミルで挽く際にもう一度焙煎しているような状態ということになります。
そのため、2度挽きすると粉砕時の熱によって酸の質がまろやかになります。また、2度挽くことで豆の表面の細胞が閉じますから、成分の抽出効率も若干落ちる可能性もあります。※1度挽きよりもあっさりと感じるというのはこれが原因かと思います。
よく、ミルの性能を語るときに「カット式のミルは豆の味をストレートに出す」「グラインド式のミルは、まろやかな珈琲になる」と言われておりますがこれは、粉砕時の熱によって、コーヒー豆の状態が変わるためです。
厳密に言えば、シルバースキンも間違いなく渋味の成分を持っておりますので取り除くことはある程度有効ですが、今回の場合、味が変わる原因の多くは2度挽きによる熱が要因と考えられます。
シルバースキンは確かに渋味の性質を持っているため「取り除いた方が良い」といわれておりますが、私の意見としては、あまり気にする必要は無いと思います。シルバースキンが渋味成分を持っていることを証明するための実験として大量のシルバースキンのみをコップ1杯のお湯に漬け込んで飲んでみて「やはりシルバースキンは渋い、だから完璧に取り除くべきだ」という方もいます。
でもこれは、コーヒー1杯分のお湯の量に対して、コーヒー何十杯分ものシルバースキンを溶かした液体での話です。コレだけ高濃度のシルバースキンを1杯分のお湯に溶かしているのですから渋味がでない方がおかしいです。でも実際にはこの液体を数十倍に薄めたものが本当の意味でコーヒー1杯当たりに含まれるシルバースキンの渋味ということになります。
実際に1杯当たりのコーヒー豆12g程度に含まれるシルバースキンのみを分離してそのシルバースキンに対して珈琲抽出と同じように120ccのお湯を注いで飲んでみたところ、抽出時間が短い場合は、渋味の成分はほとんど感じませんでした。※ただ、抽出時間が長くなると、渋味成分が多く溶け出してくるようでした。
以上の理由から、円やかな酸味を出したい場合は、2度挽きは有効だと思います。逆に明るくて爽やかな酸を出したい場合は、熱発生が少ないミルで粗めに挽くと良いです。
おそらく深煎りの銘柄が好みなので、シティロースト以上の深い焙煎度を選ぶと良い。
ご質問の件ですが、おそらくお客様は深煎りの銘柄の方がお口に合うのだと存じます。ですから、当店の各商品ページのグラフでシティロースト以上の深い焙煎度のものをチョイスするのがよろしいかと思いますよ。
>苦い珈琲が好きですが、濃すぎは嫌いです。
コーヒーは深煎りの方が濃度が高くなりますが、この原因は抽出効率にあります。コーヒーを深く煎っていくと、コーヒー豆の細胞はどんどん膨らんでいきます。細胞が膨らめば膨らむほど、お湯を掛けたときの抽出効率はよくなります。※つまり、同じ粉の量でもより濃いコーヒーになるということですね
深煎りのコーヒーが、中煎りのコーヒーよりも濃くでるのはこのためです。ですから、苦いのは好きだけれども、濃いのはいやだという場合は単純に使用する粉の量を減らしてあげてお好みの抽出濃度に調整するのが良いです。こうすると、深煎りの豆でも濃すぎることはなくなります。
また、ペーパーは2重にしない方が良いです。コーヒーの抽出の目的というのは「豆の持っている味や香りの成分をなるべくそのままカップに抽出すること」です。フィルターを2重してしまうと、コーヒーの成分を抽出することの妨げになってしまいます。
ご使用のコーヒーメーカーを拝見しましたが金属フィルター式のコーヒーメーカーですからそのままペーパーなどを使用せずに抽出するのがベストだと思います。※コーヒーが濁るのが気になる場合は、ゴールドフィルターを使用せずに、変わりにペーパーフィルターのみで抽出して下さい。
緑枠はグアテマラ(中深煎り)で茶色枠はコスタリカ(中煎り)で焙煎度が大きく違う。
緑の枠のラベルは「グアテマラ クプラ農園」、茶色の枠のラベルは「コスタリカ・モンテ・コペイ エル・エンシノ農園」という銘柄の豆ですが、両者は焙煎度が大きく違います。
※2023年現在の取扱銘柄です
ガテマラが中深煎りで、コスタリカは中煎りとなります。
コーヒー豆は「カッピング(ワインで言うテイスティング)」という評価方法で香りや酸味、マウスフィール等の10項目を客観的に審査し、100点満点で審査します。一般的なメインストリームコーヒーは60点程度の点数で、80点を超えると「スペシャルティコーヒー」となります。90点を超える銘柄は世界中でも年間片手で数えられるほどしか出てきません。84点を超えると国際品評会に入賞できるほどの品質となります。
そして、これは同じ焙煎度で比べた場合の評価であり、コーヒーは焙煎の進行度によって、発生する香りの性質が変化します。グアテマラの方が焙煎度が深いため、いわゆる「香ばしい香り」がします。これは焙煎が深くなるつれて発生するロースト臭です。
一方、コスタリカは焙煎が浅いため、ロースト臭はあまりしませんが、フルーツを連想させる甘い香りは、こちらの方が強いです。コスタリカをもう少し深く煎るとガテマラのような香ばしい香りも出てきますが、焙煎のポイントとして、最もこの銘柄のキャラクターを活かせるポイントは中煎りとなります。
上記のどちらが好みかというのは、お客様の嗜好によって変わってきます。ですから、ローストした香ばしい香りがお好みの場合は深めの焙煎度の銘柄をお勧め致します。逆にフルーツを連想させるような香りがお好みのお客様は中煎り程度の焙煎度をオススメ致します。
ただ、嗜好の幅は広がりますので、個人的には色んな風味、色んな焙煎度、色んな産地のコーヒーを召し上がりながら、コーヒーを丸ごと楽しんで頂くのがオススメです。
飲み続けるよりも1杯1杯「どのような風味がするか」を意識しながら飲むことが大事。
【味がわかるようになるには?】
飲み続けると言うよりも、1杯1杯「これはどのような風味がするのか?」ということを「意識しながら」飲むことが大事だと思います。
ただ、過去のコーヒー教室などの経験からですと嗜好や味覚というのは、その人の過去の食生活なども密接に影響するようでして、コーヒー教室にずっと通っていてもあまり違いが分からないというお客様もいらっしゃいます。
ほとんどのお客様は、意識しながら飲むことで何も考えなくても自然とコーヒーの味が分かるようになるかと思いますが個人差はあるでしょう。
【膨らみが30秒で陥没するのは正常か?】
コーヒーが膨らむというのは、豆の内部に炭酸ガスが残っているために起きる現象です。そのため、最初の1湯目で膨らんだのであれば、鮮度的には問題ありません。
蒸らしが長すぎたり、深煎りのコーヒーだった場合は炭酸ガスの含有量が多くなりますが、深煎りにすることで焙煎時に細胞も膨らんでいるため、お湯を注いだときにガスが抜けやすく、急速に炭酸ガスが放出されます。2湯目で陥没したのは炭酸ガスが放出され切ってしまったからだと思います。
革新というより「そのお店の味作りの狙いどころ」の問題。
革新の余地というよりは「そのお店の味作りの狙いどころはどこか?」という部分になってくるかと思います。低温の大量風で焙煎すると、確かに豆の細胞の破壊が少なく焙煎することが可能です。逆に、高温で豆の細胞を膨らませて焙煎することも可能です。どちらが美味しいのか?というのは、お店の味作りの狙いどころと飲むお客様の好みになってくるかと思います。
高温の短時間焙煎にすると、豆の細胞が大きく膨らむため抽出効率がよくなり、濃度の高いコーヒーが出来ます。また、フレーバー成分も発達しやすいため、香りの強いコーヒーになります。ですが、細胞の破壊によって、焙煎方法によっては賞味期限が極端に短くなってしまう可能性もあります。
低温にすると、細胞を壊さずに焙煎することが可能ですが長時間焙煎は、焙煎後半において豆の内部だけを焦がしてしまうデメリットが考えられます。また、焙煎に時間を掛けると、どんなに排煙を強くしても少なからずスモーキーな香りのするコーヒーになってしまいます。さらに、細胞が膨らんでいないので、抽出効率が悪く、高温短時間焙煎に比べると同じ粉の使用量で抽出した場合は、濃度の低い(薄い)コーヒーになります。
上記はあくまでも一般論で、厳密には上記の方法を組み合わせることで味作りをしていきます。「フレーバーの強いコーヒーを作りたいのか?」「とにかく苦味だけを突出させたコーヒーにしたいのか?」「フレーバーはそこそこに、冷めても美味しいコーヒーを作りたいのか?」「賞味期限が長く、舌触りの良いコーヒーを作りたいのか?」焙煎の理論がわかると、同じ豆を使用しても焙煎方法によって色々な味が出せるということですね。これが「そのお店の味作りの狙いどころ」だと僕は思います。
いずれにしても、コーヒーは嗜好性の強い飲み物ですから飲んでみるのが1番です。飲んでみて、ご自分の好みに最も合うお店を見つけることが重要だと思います。
抽出に関しては、ペーパードリップの場合
【通常】20g使用 → 250cc抽出
【当店(実店舗)での抽出】23g使用 → 100cc抽出 → 残りの150ccはお湯を足す
上記の方法で抽出すると、粉の使用量は少し増えますが何杯でも飲めるようなクリーンなコーヒーになります。
※コーヒーの成分は抽出の前半でほとんど抽出されてしまうため、半分を注ぎ足しにしても通常の濃度を同じ濃度のコーヒーになります。
高温抽出の方が酸味の絶対量は増えるが、他の成分も多く溶け出すため相対的に酸味の割合が減り感じにくくなる。
高い温度で抽出すると酸味が少なくなるとのことですが、この現象には2つの原因があります。ひとつは抽出時における酸味の抽出割合。もう一つは抽出後のコーヒーの温度帯による味覚の感じ方です。
まずひとつめ。抽出時にフォーカスして酸味を考えてみましょう。抽出においては、高温抽出の方が酸味成分の絶対量は必ず増えます。物理的に、高温での抽出の方が物質を溶かす力が強いため、80℃で抽出するよりも90℃で抽出したほうが溶け出す酸味の量は多くなるということですね。
ではなぜ高温抽出の方が酸味が弱く感じられるのでしょうか?実は、コーヒーの抽出される成分の中で酸味成分というのは低い温度でも溶け出す性質があるんです。そのため、抽出温度が低い場合はコーヒー液全成分の中に占める酸味の割合が相対的に高くなります。逆に高温抽出になると他の成分の抽出量が増えることで相対的に酸味の割合が減り、酸を感じにくくなると考えられます。
※粗挽きにした方が酸味を強く感じるのも、酸味成分の方が他の成分に比べ溶け出す温度が低いためです。
もう一つ、冷めたコーヒーの方が酸味を感じやすくなるのにも理由があります。正確には冷めたコーヒーだけではなく、コーヒーが熱いときにも酸味を感じやすくなります。コーヒーが熱いときも冷めてからも、酸味の絶対量そのものには変化はありません。でも酸味の感じ方に違いはありますよね。それはなぜでしょうか?
これには人間の味覚が関係してきます。高温状態ですと人間の舌は感覚が鈍ります。塩味、甘味、苦味といった成分は温度が高いほど感じにくくなります。反対に温度が低くなりすぎても人間の舌は味覚が鈍ります。冷めた味噌汁がしょっぱく感じたり、溶けたアイスクリームがやたらと甘く感じるのはこのためです。
ですが、酸味という成分は温度帯によって味覚の感じ方に変化がありません。コーヒーの温度が高すぎたり冷めてしまうと塩味、甘味といった成分が感じにくくなるために酸味が強く感じられるということですね。
そしてこの現象にはコーヒーの「甘味」も大きく関係してきます。コーヒーの甘味成分というのは40℃〜55℃の温度帯で最も強く感じられます。酸味に甘味が加わると酸がまろやかになります。コーヒーが最も甘く感じられる40℃〜55℃の温度帯というのは酸味がまろやかに感じられて甘くておいしいコーヒーが楽しめるということですね。
僕の味づくりは35℃〜60℃位の温度帯で最もおいしくなるように焙煎しています。この温度帯で美味しくなるように焙煎時の酸の生成量を調整しているんです。
補足になりますが、苦み成分に関しては熱いうちは感じにくいのですが冷めると強く感じるようになります。ですから冷めたコーヒーは苦味、酸味が強く感じられます。
コーヒーの酸味はクエン酸、クロロゲン酸、りんご酸など様々で、焙煎中の化学変化で量と質が変わる。
本日はコーヒーの酸味について少し掘り下げてお話していきましょう。僕は、コーヒーにおいて酸味という成分は、最も重要な要素と考えています。ですから、深煎りでも、ほのかに酸味が感じられるように焙煎しています。もっと言うと、酸味の全く無いコーヒーには全く魅力を感じません。
※あくまでも僕の個人的な好みです。
この酸味。世間一般では「酸味のあるコーヒーは嫌だ」「酸っぱいコーヒーは嫌だ」と「酸味」という成分はひとくくりにして話されますが、コーヒーの酸味というのはクエン酸、クロロゲン酸、りんご酸、ギ酸、酢酸、キナ酸、等々・・・焙煎中の化学変化によって、精製される酸の量と酸の質が異なってきます。
ようするに、一口に酸味と言っても実は「良い酸味」「悪い酸味」というのものがあるんです。
いわゆる、強烈に舌を刺すような刺激のある酸味や飲み込むときに、グッと力を入れないと飲めないような酸味というのは、焙煎中の酸味の生成段階において、悪い酸味成分が出てしまったものです。この酸味は僕も嫌いです。味の成分としてネガティブなものだし、極論を言えば「酸っぱい雑味」といっても良いと思います。
ですが、良質な酸味成分は味としてポジティブなものであると考えています。「強さ」「弱さ」で語られることが多い酸味ですが「質」というものにフォーカスすると酸味の絶対量は多くても、飲み易いコーヒーもあれば酸味の絶対量は少なくても飲みにくいコーヒーというのが確かにあります。
当店では、一般的に飲んだときに収斂姓を感じる悪い酸は生成されないように焙煎するよう心がけています。逆に、酸味でもクエン酸やりんご酸などの爽やかであったり、円やか、明るくて良質な酸は焙煎中に積極的に生成するようなイメージで焙煎しております。
ただ、これは僕のコーヒーの味作りとして行っていますが、いくら良質な酸味といっても、お客様の嗜好によって好き嫌いが分かれるところだと思います。
酸味を全く感じないように焙煎することも可能ですが、先ほども説明したように僕自身としては酸味の無いコーヒーには魅力を感じないため、当店では酸味をなくす方向の焙煎は行っていません。
酸味のコーヒーは嫌いだと思っていたけど、飲んでみたら凄く美味しい!そんな風に言って頂けると、コーヒー屋としては本当に嬉しいですね。
プラスチック・陶器・ガラス・ステンレス製のドリッパーは必ず食器洗い洗剤で洗うこと。
結論から言いますと、ドリッパーがプラスチックや陶器、ガラス、ステンレス製の素材であれば食器洗い洗剤で必ず洗ってください。
金属メッシュフィルターの場合は、通常はお湯で洗い、長期間使用しなかった場合のみ洗剤で洗って下さい。
ネル(布)の場合は、絶対に洗剤を使ってはいけません。
※ネルの場合は、沸騰したお湯で煮出し洗いします
コーヒーメーカーということですから、プラスチックのドリッパーで、サーバーがガラス製かと思いますので、洗剤で洗うようにして下さい。
洗剤を使わずに洗うと、コーヒーの脂分がきれいに洗い流されずにドリッパーに付着した状態になります。この付着したコーヒーの脂分が酸化すると、嫌なにおいになります。
ネルドリップの場合は、素材が布のため、洗剤の香りが付いてしまいますので煮出し洗いすることで脂分を取り除きます。
※ゴールドフィルターなどでも臭いが取れない場合はこの方法をお試し下さい。
かき混ぜてはいけない。
【質問1】半分お湯を入れて30秒なじませる時にかき混ぜるのか?
かき混ぜてはいけません。かき混ぜることによって、コーヒーの成分が過抽出になってしまい雑味も抽出されてしまいます。
お湯に触れている部分と触れていない部分があると、抽出ムラになるので、始めに半分程度いれてから、プレスごとくるくると軽く揺すって、お湯と粉を馴染ませます。
※しっかりと馴染んでいる場合は、揺する必要はありません。
お湯と粉がしっかりと馴染んでいれば2回に分けずに最後まで一気に注いでしまっても問題ありません。
【質問2】お湯はどのように注ぐとよいのか?
1湯目に限っては、お湯に粉が溶けていない状態なので静かに注ぐ必要はございません。お湯を一気に入れてしまった方がお湯と粉が馴染み易いです。
2回に分けてお湯を注ぐ場合は、2回目の注湯は静かに優しく行ってください。激しく注ぐと、かき混ぜたのと同じ効果になってしまい過抽出になります。
ネル管理の手順は、(1)抽出後に粉を捨てぬるま湯で軽く洗う、(2)鍋でネルを10分ほど沸騰したお湯で煮出す、(3)水を入れたタッパーに入れて保存。
本日はネルドリップの管理についてのお話です。当店の実店舗での抽出もネルで行っています。個人的には1番美味しいと感じる抽出方法ですが、家庭で管理するとなると、少々面倒です。
以下が、ネルの管理方法です。
1、ネルを使用して、コーヒーを抽出
2、抽出を終えたネルの粉を捨てネルをぬるま湯で軽く洗う
3、なべにネルを入れて10分ほど沸騰したお湯で煮出す
4、水を入れたタッパーなどに、にネルを入れ保存する。
使用する前は、軽く絞ってからそのまま使用していただいて構いません。
使用後に煮出すのは、ネルに付いたコーヒーの脂分を落とすために行います。これをしないとネルに付着した脂分が酸化して、嫌な臭いを放ちます。
慣れてしまえばどうってことないので「面倒でもおいしいコーヒーを淹れたい!」というお客様は、上記を参考にして是非ネルドリップにチャレンジしてみてくださいね。
焙煎度がかなり深いコーヒーで、焙煎時の排煙や時間・カロリーが適切でない場合、煙のような香りや後味に残る苦味が出る。
おそらくお客様がお友達にもらったコーヒー豆というのは焙煎度がかなり深いコーヒーだと思います。この辺は「お店の味作りの狙いどころ」によって変わってきますので、どちらの豆が正しいということはできません。
上記の様なコーヒーをわざと狙って焙煎しているお店もあるかと思いますので、最終的には飲むお客様の好みになるでしょう。
焙煎時の排煙が悪く、焙煎時間、カロリーが適切で無い場合、煙の様な香りや、苦味(キレのよい苦味ではなく、飲み終わった後も口に残る苦味)のコーヒーになります。
ただ、上記の様なスモーキーなコーヒーが好きというお客様も当然いらっしゃるかと思います。特に仙台という土地柄ではこのようなコーヒーが多いと言われています。
※北海道もにが〜い深煎りコーヒーの文化があります。
ただ、ミルにコーヒーの粉が付くのは、深煎りのコーヒーの脂分によるものですから基本的には品質とは比例しません(当店の深煎りも、ミルに付着します)
つい数年前までのいわゆる「コーヒー通が飲む美味しいコーヒー」というのは味の「質」よりも「濃度(コク)と強さがあるコーヒー = 深煎り = 美味しいコーヒー」でした。当店も(というか日本中のコーヒー店が)つい数年前までは「強さと濃さ」のあるコーヒーを焙煎していたんです。
ですがスペシャルティコーヒーという高品質豆が入ってくるようになってからは「酸の質」「マウスフィール」「アフターテイスト」「バランス」「クリーンカップ」「フレーバーの質」といった、本当の意味での「味の質が」問われるようになってきました。
現在の国際品評会などの評価基準(カッピング)で評価するとスモーキーな深煎りコーヒーというのは著しく評価が下がりますが、コーヒーは嗜好品ですから、色々なお店の味作りがあって当然とも思います。
手網焙煎は市販の銀杏煎り器でガスコンロで生豆を焙煎する方法。
まず、手網焙煎焙煎について、わからないお客様のために簡単に説明しておきましょう。手網焙煎というのは、市販の銀杏煎り器(ホームセンターで売ってます)を使用して、ご自宅のガスコンロで生豆を焙煎することを言います。
この手網焙煎、なかなか奥が深く、手網焙煎がきっかけで焙煎にはまってしまい、自家焙煎店をオープンするという方も少なくありません。業務用の焙煎機ほどのカロリーコントロールはできませんが、上手に煎ることができれば手網焙煎でも十分美味しいコーヒーを飲むことができます。
ご質問頂きました手網焙煎のコツですが、最も重要なポイントはたったの一つだけです。そのポイントとは「豆全体に高カロリーを与えることを第一に考えること」が重要です。
豆全体に高カロリーを与えるためにはどうすればよいのか?業務用焙煎機ですと様々な方法が考えられますが、手網焙煎に限っては「火力の強さ」と「火と銀杏煎りとの距離」でカロリーの調整を行います。
ただ、家庭用コンロの場合、元々の火力が弱いため、弱火にしてしまうとカロリー不足になりますから、ガスコンロは「強火一定」で手網とコンロの高さを変えることでカロリーを調整して下さい。
焼きあがるまで豆に冷たい空気があたらないように注意すれば美味しいコーヒーが焼けるかと思います。
挽いたときの香りをそのまま抽出後のコーヒーに移すことは物理的に不可能。
今日は液体にした後の、コーヒーの香り(アロマ)に関してのお話です。確かに、挽きたてのコーヒー豆の香りは素晴らしいですよね。ですが、抽出後はここまで強い香りのコーヒーにはなりません。それはなぜでしょう?
コーヒーの香りに関しては、挽いたときの香りをそのまま抽出後のコーヒーに移すことは残念ながらできません。10gの粉から、150cc(150g)のコーヒーを抽出すると考えた場合、単純に、10gの粉から揮発しているアロマを液体にすることで15倍に薄めていることになります。
このようにコーヒー粉をお湯に溶かして抽出するという性質上、物理的にどうしても、粉の状態の香りの強さをそのままカップに移すということはできないのです。
例えば、10gの醤油をそのまま嗅ぐと、香りを強く感じることが出来ますが、この10g醤油を150gのお湯に溶かしてしまうと香りは薄くなります。
さらにコーヒーの場合は、物質を直接お湯に溶かすのではなく、ペーパーフィルターを通して間接的に成分を抽出するため、粉の成分100%を液体に移すことは出来ず、香りはどうしても弱くなります。
ネルドリップの方が、濃度が高いため香りが強くなりますが、ある程度の限界はあります。コーヒードリンクの中で最も香り(アロマ)を感じ易いのはエスプレッソですが、エスプレッソは10gの粉当たり、1杯20〜30ccほどしか抽出しないため濃度が高く、香りを感じ易いです。
このように、使用する粉の量を増やすことで香りもある程度強くすることは可能ですが、限界はあります。
補足として、コーヒーの香りには2種類ありまして、液体から直接立ち上る香り(アロマ)の成分は揮発性のためコーヒー温度が高い方が感じ易くなります。もうひとつの香りであるフレーバー(飲んだ後に鼻から抜ける香り)はある程度温度が低い方が感じ易いです。
苦味の9割以上は豆の焙煎方法と焙煎度で決まり、ドリップや入れ方ではせいぜい±1〜2程度しか変わらない。
コーヒーの苦味ですが、原則としてコーヒーの苦味はドリップによって増減するものではありません。
※沸騰した熱湯を注いだりしなければ
ですから、ご心配されているように淹れ方が悪いということではありませんのでご安心下さい。
苦味の原因の9割以上は、その豆の焙煎方法と焙煎度によります。つまり、同じ豆で入れる場合は、ミルを変えても、入れ方を変えても奥様が苦味を感じないようにすることはできません。
コーヒー豆の焙煎度と苦味には密接な関係があります。
・深煎りほど・・・酸味が弱く、苦味が強い
・浅煎りほど・・・酸味が強く、苦味が少ない
上記の原則があります。ですから、例えば苦味の強さが「10」の深煎りコーヒーを抽出方法を変えるだけで、苦味の強さを「5」に減らしたり「15」に増やしたり極端に変えることはできません。
※入れ方ではせいぜいプラスマイナス1〜2程度しか変わりません。
つまり「5」の苦味がよい場合は、元々苦味の少ない浅めの焙煎度の銘柄をチョイスし、「15」の苦味が良い場合は、もっと深煎りの豆をチョイスするということですね。
次にミルですが、今回のケースではミルを変えることで苦味を減らすことは出来ませんのでミルを買い換える必要はありません。確かに高性能ミルの方が美味しいですが、市販の家庭用ミルの場合はミルを変えるだけで劇的にコーヒーが美味しくなるということはありません。プロペラ式のミルでも十分美味しいコーヒーが入ります。
同じ重量で山盛りになるのは深煎りで細胞が膨らんでいるため。
おそらくこのお客様がご購入された豆は、かなりの深煎りだと思います。同じ重量で山盛になるといういことは、豆の細胞が膨らんでいるためです。深煎りにするほど細胞は膨らみますから、同じ重量でもカサは増えます。
中煎りといっても、焙煎度というのは本来は「アグトロン値」や「L値」など挽いた後の粉の色の濃さによって決めるのですが、それぞれのお店によって基準が違うためかなりバラつきがあります。
※当店の場合は、焙煎の進行具合によって、焙煎度を決定しています。
焦げ臭く苦いだけの味については、おそらく「芯焦げ」もしくは焙煎時のカロリーオーバー、排気不足によるものです。この焙煎方法で焙煎されたコーヒーは、口の中にいつまでも残る苦味が顕著に出てきます。
ただ、あえてこういった味を目的とした豆を煎るお店もありますので、一概にどちらが正しくてどちらが間違っているとは言えません。コーヒーはお客様がそれぞれの判断、好みで選ぶのが一番ですね。
微粉そのものが悪いのではなく、小さい粒子は溶け出しやすいため抽出時間が長いと過抽出になり雑味が出るのが原因。
一般的に微粉はコーヒーの味を損ねると言われていますが、厳密に言うと微粉そのものがコーヒーの味を損ねるのではありません。
挽いたコーヒー粉は、大小様々なコーヒーの粒子が混ざった状態になっています。微粉はこの中でも特に小さい粒子のことを言いますが、同じ物質というのは小さいものほど先に溶け出す性質があります。
※大きな氷より、細かく砕いた氷の方がよく溶け出すのと一緒です。
抽出時に微粉が混ざるとお湯を注いだときに小さい粒子である微粉の方から先に成分が抽出されていきます。抽出時間が短ければ問題ありませんが、抽出時間が長くなると過抽出になってしまい雑味が溶け出してきます。
エスプレッソは微粉並みに豆を細挽きに挽いて抽出しますが、30秒という短い時間で抽出を終えるため雑味は出ません。一方、同じエスプレッソ用の挽き加減でペーパードリップで抽出すると時間が掛かりすぎて雑味たっぷりのコーヒーになってしまいます。微粉がコーヒーの味を損ねると言われているのはこのためです。
ただ、微粉は品質の悪いコーヒー豆や焙煎後時間が経過した豆ですと豆の悪い部分がそのまま出てきますから影響は大きいと思いますが、鮮度が良くて正しく焙煎された品質の良い豆の場合はあまり気にしなくても問題ないです。
※豆自体に雑味成分が少ないので、微粉が多少混ざっていても雑味が抽出されにくい
完全に微粉を取り除いたコーヒーはクリーンカップで澄んだコーヒーになりますが、微粉が多少混ざった方が抽出濃度が上がりますからコクのあるコーヒーになります。この辺はお客様の好みになるかと思いますが、当店のコーヒーに限って言えば微粉はあまり心配する必要はないでしょう。
深煎りを避けているのではなく、深煎りに合う豆が極めて少ないため中深煎り以下が多くなる。
確かに当店の新商品は中深煎りより浅い焙煎度の豆が多いです。
これは、深煎り(フレンチ以上の焙煎)を避けているのではなく、深煎りに合う豆というのが極めて少ないために中深煎り以下での焙煎度が多くなるのが原因です。
コーヒーは焙煎することで成分が炭化していきますので、水分量が多くて、細胞の硬い豆でないと、深く煎ると味も香りも同じようなコーヒーになってしまい、産地の個性が出せません。
また、たとえ深煎りに耐えられるコーヒーでも、他の焙煎度と比べて風味が悪ければ、深煎り以外でのご提供となります。
当店で扱う豆で、深煎りに耐えられる豆は全体の約2割位です。ですが、深煎りに耐えられる豆でも、中煎りの方がさらにキャラクターを活かせる銘柄だとしたら、当店では中煎りでの販売となります。
※どちらも同じくらい素晴らしい場合は、選択式にします。
そのため、必然的に深煎りとして販売する豆は少なくなるというわけですね。当店の新豆で深煎り販売になる銘柄は年間平均で2銘柄位になるかと思います。
※あくまで平均です。ゼロという年もありましたし、5銘柄以上ご紹介した年もありました
あまり深煎り向きの豆が無いからこそ「コレでもかっ!」っていうくらいに凄いフレーバーの深煎りコーヒーと出会えると、鳥肌が立つほど嬉しくなります。
浅煎り(酸味タイプ)は豆内部の炭酸ガス量が少なく膨らみが弱いので抽出が難しく感じるが、物理的に深煎りと同じ状態にはならない。
【質問】酸味のあるタイプの豆はなぜ淹れるのが難しいのか?淹れ終わった後の豆の状態が深煎りタイプのようにうまく落とせない。何かポイントがあれば教えて欲しい。また蒸らし時間の設定が20〜30秒で店によりいろいろだが、淹れる人の蒸らし時間で明確に味は変わるのか?
酸味タイプ=浅煎りと推測できるが、浅煎りの豆は確かに蒸らしで膨らまないし、注湯中もお湯が粉面の上に水溜りのようになる。これは浅煎りの銘柄ほど豆の内部の炭酸ガス量が少ないから。ガス量が少ないので膨らみも弱く、抽出が難しいと感じる。ただあまり気にしなくて問題ない(物理的に浅煎りで深煎りと同じ抽出状態にはならない)。状態よりも何よりも『味』が第一。雑味が出ていなければ抽出は失敗ではない。
目安は30秒だが、焙煎度・銘柄・焙煎からの経過日数によって大きく変わる。
深煎りで新しい銘柄ほど炭酸ガス量が多く、蒸らしの時間を長く取らないと2回目の注湯時に泡が噴出しすぎてお饅頭型に膨らんだ土手を崩してしまう。浅煎りの銘柄ほど蒸らしの時間は少なくて良い。
見た目の目安としては、蒸らしのお湯を注いだ後に豆が膨らみ、膨らみが止まってへこみ始める直前くらいが適切な蒸らし時間(ボコボコと下から炭酸ガスが出ている間は収まるまで待つ)。
炭酸ガスが多量に含まれた豆は、ある程度蒸らし時間を長く取らないと抽出効率が悪くなる(ガスに邪魔されて成分が抽出できず濃度が出にくい)。当店では豆の状態によって1分以上蒸らしに時間を取る場合もある。
蒸らしは抽出効率に影響するが、味が大きく変わる場合は蒸らし以外の原因の方が大きい。以下を守れば失敗しない:
・ある程度蒸らしをして炭酸ガスを抜く
・抽出時間が4分以上にならない
・高い位置から注がない(近い位置から優しく)
雑味が出ていなければ蒸らしが10秒でも1分でもOK。コーヒーの抽出は『美味しく淹れる』よりも『雑味を出す要因を排除する』という考え方が大事。
苦味の原因は抽出湯温が高い、もしくは焦げ豆が1粒でも混ざっていた可能性(ハンドピックでも稀に混入する)。
【質問】三日前に淹れた最後の豆が非常に苦く、今日淹れたものは大豆のような香りがした。同じ豆を同じように淹れているつもりだが、なぜこんなことが起きるのか?
【回答】『苦味の原因』と『大豆のような香りの原因』について。
まず、抽出時の湯温度が高い場合。抽出温度が高いと顕著に苦味が出る。もしくは焦げ豆が混ざっていた場合も苦味が強く出る。
当店では焙煎後もハンドピックを行い焦げ豆などを取り除いているが、手作業のため稀に焦げ豆が混入してしまうことがある。焦げ豆が1粒でも混ざると出来上がりのコーヒーは苦くなるため、これが原因の可能性もある。
【大豆のような香りの原因】
恐らくカッピングジャッジの言う『ポテト臭』が原因と推測される。ポテト臭が発生しやすい産地のコーヒーはダントツでルワンダ産に多い(およそ生豆5kgに対して1粒程度の割合で混入、もちろん他の産地でも発生することはある)。
ポテト臭の原因は、栽培〜精製〜輸入のどの段階で発生するか確たるデータはないが、土壌か栽培中の虫が原因という推測が現在有力。
ポテト臭のする豆は見た目も通常豆と全く同じため現状では対策がない。ルワンダの国際品評会『カップオブエクセレンス』でもポテト臭に関してはディフェクト(欠点)を取らないルールとなっている(ポテト臭を欠点と取ると、本当は素晴らしく高品質な豆でも著しく点数が下がってしまう恐れがあるため)。
普段は何ともないのに今回のコーヒーだけ強い苦味やポテトの様な香りがあった場合、このような原因が考えられる。
コーヒーのブランド名は主に買い付ける生豆商社や生産地のミル(精製工場)でつけられることが多い。
【質問】『イエメン・モカ・マタリ・アールマッカ』の袋を見て、コーヒーの名前はどうして決まるのかと思いました。『モカ・マタリ』は出回っている名称だが、アールマッカは誰がどう命名したのか教えて欲しい。
【回答】(※この質問は2015年7月頃のもので、現在当店でイエメン産コーヒーの取り扱いはない)
ご質問のアールマッカは、イエメンのバニーマタル地区で生産される小規模農園を集めたロット。イエメンは農園単位では極めて生産量が低く1ロットとして成立しないため、品質が一定になる範囲の狭い地区内のコーヒー豆を集めてロットを作っている。
ブランドの名前は、主に買い付ける生豆商社や生産地のミル(精製工場)でつけられることが多い。アールマッカは生豆輸入商社が地区を限定して収穫・買い付けした商品なので、生豆商社が独自に付けたブランド名。
・農園名がそのまま名前になっているもの
・精製工場の名前がついているもの
といったように、農園名、地域名、生産工場、農協などによって様々なネーミングがされる。
コーヒーは淹れたてが一番美味しく、熱による酸化と香りの揮発で劣化する。
コーヒーを外出先でも楽しむ一般的な方法は2つ。
1. 外出先に電子レンジがある場合→一旦冷ましたコーヒーを電子レンジで60度程度に温め直す
2. 電子レンジが無い場合→保温ポットや魔法瓶で携帯
コーヒーは淹れたてが一番美味しい。理由は、抽出後も熱によって酸化し、香り成分も揮発性で時間経過でどんどん揮発するから。コーヒーメーカーの保温ポットで長時間高温に置いたコーヒーは煮詰まった独特の嫌な味がする。コーヒーを外に持ち出す場合は、いかに熱による酸化を防ぐかが最大のポイント。
1の電子レンジ方式は『一旦冷ました』コーヒーを温め直すので長時間高温状態になることが防げ、ある程度美味しいコーヒーを楽しめる(温めすぎに注意、煮詰まった味になる)。
2の保温ポット・魔法瓶は高温状態が続き酸化が進む。保温プレートで熱し続けたものより幾分マシだが煮詰まった味になる。
【きゃろっとの推奨方法】
・通常の3倍濃度のコーヒー液を抽出する
・常温に冷ましてから水筒で携帯する
3倍濃度の作り方は簡単。普段2人前20gで300cc抽出しているなら、同じ粉量で100ccだけ抽出すればOK。コーヒー抽出は最初の3湯目程度でほとんどの成分が出るので、ゆっくりお湯を細く注げば3倍濃度になる(蒸らし後1分半〜2分位で目的の抽出量になる速度)。
このコーヒー液を常温に冷ましてから水筒で携帯。外出先でこのコーヒー液に熱湯を注ぎ3倍に薄めれば完成。冷めた液に100度近い熱湯を注ぐのでちょうど飲み頃の温度。熱による酸化がほとんどなく、淹れたてに近いコーヒーを楽しめる。
『炭焼きコーヒー』『炭火コーヒー』は焙煎度ではなく豆を煎るときの『熱源』のこと。
【質問】姉は炭火コーヒーが好きだが私には苦くて好みでなかった。炭火コーヒーは深煎りになるのですか?
【回答】結論から言うと『炭焼きコーヒー』『炭火コーヒー』は焙煎度ではなく豆を煎るときの『熱源』のこと。通常の焙煎の熱源はガスで、当店の焙煎機もガスが熱源。炭焼きコーヒーは炭を熱源として焙煎したもの。一般的に深煎りが多いが、浅く煎っても熱源に炭を使えば炭焼きコーヒーになる。
熱源に炭を利用するのは遠赤外線効果で豆の芯まで熱を通しやすくするという理屈だが、実際は『炭』というキャッチコピーを使うためにガスと併用して一部だけ炭を熱源にしているところがほとんど。
炭は確かに遠赤外線を放射するが、遠赤外線は地上のほぼ全ての物質が熱を持てば放射する。炭は遠赤外線を放射する比率が高い物質。しかしコーヒー豆の焙煎には微妙な熱加減が必要で、炭だと豆に与えるカロリーの調整ができず味を安定させるのが非常に困難。
そのため当店では、炭と同程度の遠赤外線放射率がある『セラミックス』で焙煎釜の内側をすべて覆うことで遠赤外線効果を狙っている。
焙煎は豆にどのようにカロリーを与えるかで豆のキャラクターがガラッと変わる。またマウスフィールや酸の出し方、抽出濃度にも関わるので焙煎人が『熱の加え方』を研究することはとても大事。
コーヒーで雑味が出る原因は『豆の鮮度』『豆の品質/焙煎』『過抽出』の3つだけ。
『どうしても雑味が出てしまう』という方は少し考え方を変えて抽出すると良い。
コーヒーの抽出で雑味が出る原因は3つしかない。
2. 豆自体の品質もしくは焙煎が悪い
3. コーヒー抽出時に過抽出になっている
1と2はお客様の方ではどうにもできないから、信頼できる良いお店を見つけることが重要。どんなに抽出を研究しても1と2がダメなら意味がない。美味しいコーヒーをご自宅で飲むためには、自分の好みに合ったコーヒーを提供してくれるお店を探し当てることが最も重要。
『雑味が出る』方は『美味しく淹れるように抽出する』のではなく『雑味が出る原因を取り除くように抽出する』と考え方を変えてみる。
過抽出になる原因は『メッシュ』『攪拌』『温度』『時間』の4つのどれかが適切でない。
【メッシュ】中挽き〜中細挽きが優しい。細すぎると温度の影響を受けやすくなる。
【攪拌】ペーパーはかき混ぜないが、荒く注いだり高い位置から注ぐと攪拌と同じ効果で雑味が出やすい。近い位置から優しく注ぐ。
【温度】熱湯はNG。80〜90度程度で(温度が低いのは濃度には関係するが雑味の原因ではない)。
【時間】蒸らし後3分以内に抽出を終える(長いと雑味が出る)。
難しく考えるほどどつぼにはまる。悩んでいる方は上記を実践してみる。上記の方法で『美味しくない』と感じた場合は豆自体が好みでないか濃度が好みでないだけ。豆が好みでないなら抽出ではどうにもならないので違う豆を買う。濃度が合わない場合は豆の使用量を増減して同じ方法で入れてみる。抽出は本当に簡単。
ゴールドフィルターの場合、ナイスカットミルならダイヤル3〜5(中挽き〜中細挽き)が目安。
【質問】ナイスカットミルシルバーの中挽きの一つ細めのダイヤルで挽いているが、今回注文したゴールドフィルター使用の場合も現在の挽き方でよいか?ペーパーフィルター(メリタ陶器1穴)は4回目注湯でお湯の落ちが悪い。
【回答】今回の話はペーパーフィルターやネルドリップの方にも参考になる。
ゴールドフィルターを使用の場合、ナイスカットミルならダイヤル3〜5(中挽き〜中細挽き)の間が目安。ただしこれはあくまで目安で、細挽きでも雑味が出なければ問題ない。細く挽きすぎると雑味が出るが、蒸らし後から数えて3分以内で抽出が終わるなら問題ない。
コーヒーの抽出は銘柄や焙煎度でも変わるが、およそ3〜4分を超えた辺りから雑味が溶け出してくる。『どの挽き加減が正解?』と悩む方が多いが、基本的に当店の豆なら『蒸らしが終わってから3分以内に抽出が終われば問題なし』。あとは濃度の好みで決める。
雑味の無い濃いコーヒーが好みなら『3分で抽出が終わる範囲内で、できる限り細挽き』に調整する。軽めが好きなら粗めに挽く。粗挽きはお湯の落ちが速く雑味が出にくいが、細挽きにする場合は注意が必要。
例えば、普段2人分(20g)で約3分で抽出が終わるよう挽き加減を調整したとする。同じ挽き加減で4人分を淹れると粉の層が厚くなり液体が落ちるのに時間がかかり3分を超えてしまう。粉の使用量によっても抽出時間が変わるので、蒸らし後に3分を超える場合は粗挽きにするなどメッシュで調整する。
ワインと同じ考え方で、あっさりしたものには浅煎り、こってりしたものには深煎りが向いている。
【質問】コーヒーの講習会で好きでないコーヒーもケーキやナッツと合わせると味わいが決定的に変わって驚いた。食べ物とのマッチングを理解しながら飲めたら世界が広がる気がする。内倉さんが普段の生活でお勧めのマッチングはありますか?
【回答】基本的に食べ物との組み合わせは好みによる部分が大きいが、大まかに『合うもの』『合わないもの』はある。
コーヒーもワインの『白ワイン』『赤ワイン』と基本的な考えは同じで、あっさりしたものには『浅煎り』、こってりしたものには『深煎り』が向いている。
例えば、カレーライスやこってりした味噌ラーメンなどを食べた後に浅煎りコーヒーを飲むと、苦味だけが感じられあっさりしすぎて味がわからない。こういう濃い食べ物の後にはフルシティロースト以上のどっしりとした深煎りコーヒーが合う。
逆に、フルーツ系の食材にはミディアム〜ハイローストの浅煎りコーヒーがとてもよく合う。
また、生クリーム系のデザートにはどの焙煎度のコーヒーも良く合う。チョコレート系の場合はワイニーな風味特性の銘柄が良く合う。食べ物との相性を考えながらコーヒーを楽しむのも面白い。
焙煎度は浅煎りから深煎りまで一般に8段階。
【質問】メルマガでシティローストやフレンチローストとあるが意味が分からない。ローストの種類と内容を教えて下さい。
【回答】焙煎の度合いは一般的に浅煎り〜深煎りまで8段階の呼び方がある。浅い方から順に:
1. ライト・ロースト
2. シナモン・ロースト
3. ミディアム・ロースト
5. シティ・ロースト
6. フル・シティ・ロースト
7. フレンチ・ロースト
8. イタリアン・ロースト
1番のライトローストは現実には酸味が強すぎて飲めないほどの浅煎り。多くのお店では3番ミディアムロースト程度が店頭販売の最も浅い焙煎度。当店の最浅もミディアムロースト。
豆によるが4番ハイ〜6番フルシティあたりが味のバランス的に一般的に飲みやすい焙煎度で、当店でもこのレンジが最多。
8番イタリアンローストはドリップ向けではなくアイスコーヒー用に使われることがほとんど。ここまで深く煎ると豆の風味特性は感じにくくなるため、アイスコーヒーには高山地の深煎りでも風味が損なわれにくい銘柄を使う必要がある。
アイスコーヒーを深煎りにする理由はキレの良い苦味を出し清涼感を得るため(ビールと同じ)。また深く煎ると豆の細胞が膨らみ抽出効率が良くなり濃度が出しやすい。
焙煎度によって同じ銘柄でも風味はかなり変わる。その豆に最も合った焙煎度を探し、いつも同じ焙煎度で提供することがコーヒー屋の仕事と言える。実際は8段階に単純分類できず、釜出し温度が1度違うだけで豆のキャラクターは変わる。ただし大まかな分類として覚えておくと便利。
微粉自体が味を損ねるのではなく、微粉は小さい粒子なので先に成分が抽出され、抽出時間が長くなると過抽出で雑味が出るのが原因。
【質問】電動ミル(deviceSTYLE)にメッシュカップ+クリアカップで微粉を分離できるが、シビアに取り除かなくても味に変わりはないか?20gを10秒で挽くのは荒挽きになるので15〜20秒が良いのでは?
【回答】微粉そのものがコーヒーの味を損ねるのではない。挽いたコーヒー粉は大小様々な粒子が混ざった状態で、同じ物質は小さいものほど先に溶け出す(大きな氷より細かく砕いた氷の方がよく溶け出すのと同じ)。抽出時に微粉が混ざるとお湯を注いだ時に微粉から先に成分が抽出される。抽出時間が短ければ問題ないが、長くなると過抽出になり雑味が溶け出す。
エスプレッソは微粉並みに細挽きで抽出するが、30秒という短時間で抽出を終えるため雑味は出ない。一方、同じエスプレッソ用の挽き加減でペーパードリップすると時間がかかりすぎて雑味たっぷりになる。これが『微粉がコーヒーの味を損ねる』と言われる理由。
ただし、品質の悪いコーヒー豆や焙煎後時間が経過した豆は豆の悪い部分がそのまま出るため影響大。鮮度が良く正しく焙煎された品質の良い豆なら、あまり気にしなくて問題ない(豆自体に雑味成分が少ないので微粉が混ざっても雑味が抽出されにくい)。
完全に微粉を取り除いたコーヒーはクリーンカップで澄んだコーヒーになり、微粉が多少混ざった方が抽出濃度が上がりコクのあるコーヒーになる(好みによる)。
当店のプロペラ式ミルは普段『粉の状態』で購入している方や手挽きが面倒な方向けの初心者向け商品。業務用同等を求めるコアな方にはカリタ『ナイスカットミル』やフジローヤル『ミルっこ』を推奨(当店では取り扱いなし)。
プロペラ式ミルの秒数はあくまで目安で、秒数よりサンプルのメッシュと比較して『大体このくらいかな』という挽き加減に合わせる方がずっと重要。微粉は混ざりすぎると良くないが、よほど極端でなければ家庭用ミルで問題ない。微粉が多い時は挽いた粉を茶漉しに移して軽くトントン振ると落とせる。
焙煎後のハンドピックで、コーヒー豆の中にポップコーンが混ざっていたことがある。
当店ではコーヒー豆の焙煎後にハンドピックで不良豆や炭豆などを取り除いているが、極まれに珍しいものが混ざっている。『ポップコーン』だ。
『なんで、コーヒー豆の中にポップコーンが?』と思う方もいると思うが、コーヒー豆は生産地によって他の野菜などの作物と一緒に栽培する『多種類作物栽培』も行われている。ポップコーンが混ざっていたのはガテマラのコーヒー豆で、この農園ではコーヒー豆と一緒にとうもろこしの栽培も行われていた。焙煎後のハンドピックで発見したため、水分の抜けたとうもろこしが釜の中で弾けポップコーン状になっていた。
コーヒー豆の栽培方法は生産国によって全く違う。ブラジルの農園はほとんどがコーヒー豆の単一日向栽培だが、エチオピアなどは森林の中のコーヒーの木が『半野生』状態で栽培される。コーヒーの木に日が当たるようコーヒーの木より背の高い樹木の上部を刈り込むだけで栽培し、肥料もコーヒーの木の剪定も行わない。このような栽培方法でも、生物の多様性豊かな地域で少量栽培されたコーヒーは驚くほど素晴らしい風味を持つ。世界中のコーヒーが地域特有の素晴らしいキャラクターを持つのは、栽培方法の違いも大きな要因。
日本のコーヒー文化の先駆けは森鴎外や北原白秋らの『パンの会』で、日本橋のメイゾン鴻の巣が本格的なフランス式深煎りコーヒーを提供していた。
【第6回: 日本のコーヒー史~大正時代以降】
日本でのコーヒー文化の先駆けは『パンの会』(コーヒー愛好家の会)。森鴎外が指導して1909年に創刊された文芸雑誌『スバル』のメンバーである北原白秋、石川啄木、高村光太郎、佐藤春夫、永井荷風などが日本橋小網町の『メイゾン鴻の巣』で毎月会合を開いていた。本格的なフランス料理と洋酒、本格的なフランス式深煎りコーヒーを出し、文士の社交場だった。
明治から大正にかけてカフェがいくつかでき、日本にもカフェ文化の風が入ってきたが、いずれも一般には敷居の高い店ばかり。そんな中、『カフェ パウリスタ』は最初こそ文士の社交場だったが、一般の人達が気軽に立ち寄れる値段と雰囲気で大繁盛。大正時代最盛期には全国に20余りの支店を数えた。高級西洋料理店プランタンのコーヒーが当時15銭だった時に、パウリスタではパリやニューヨーク風カフェの雰囲気のまま5銭で飲めた(1/3の値段)。全国のパウリスタで初めてコーヒーを知った人も多く、コーヒー大衆化に拍車をかけた。
大正時代に愛好家が増え、昭和でさらに需要を伸ばすが、第二次世界大戦でコーヒーは『敵国飲料』として輸入停止に。日本人の生活から一時期コーヒーは姿を消す。
戦後、昭和25年(1950年)から輸入再開、珈琲は『平和の使者』として人々を魅了。1960年代にインスタントコーヒーおよび生豆の輸入自由化、国産缶コーヒーも登場。多くの喫茶店新規出店により第一次コーヒーブーム到来。
1995年頃からスターバックスコーヒーの第一号店が銀座にオープンし、深煎りのコーヒーにミルクやクリームをアレンジしたシアトル系『セカンドウェーブコーヒー』が流行。現在は品質にフォーカスしたスペシャルティコーヒーを一杯ずつ丁寧にドリップする『サードウェーブコーヒー』が定着。コンビニやハンバーガーショップでもその場で抽出するコーヒー文化が急速に広がった。
現在の日本のコーヒー文化は非常に多様性を持ち、ひとくくりに『サードウェーブ』とカテゴライズできなくなっている。各店が個性的なコンセプトを打ち出し、共感するお客様が集う、コーヒー屋としてとても素敵な時代になっている。
日本にコーヒーが初めて持ち込まれたのは天明年間(1781-1788年)頃、長崎の出島にオランダ人が持ち込んだとされる。
【第5回: 日本のコーヒー史~江戸・明治時代】
日本にコーヒーが初めて持ち込まれたのは、天明年間(1781年-1788年)頃に長崎の出島にオランダ人が持ち込んだと言われる。1804年に大田南畝によって記された『瓊浦又綴(けいほゆうてつ)』には『紅毛船にてカウヒイというものをすすむ 豆を黒く炒りて粉にし 白糖を和したるものなり 焦げくさくして味ふるに堪ず』との記載があり、当初の日本人はコーヒーの味と香りになじめなかった。
西欧諸国で次々とコーヒーハウスがオープンしコーヒー文化が開花していた頃、日本は江戸時代で厳しい鎖国政策の真っ只中。コーヒーは長崎出島のオランダ商館設立以降オランダ屋敷に持ち込まれたと推測されるが、外国人に接触できたのは役人・商人・通訳・遊女などの限られた日本人のみ。1776年記の『ツンベルグ日本紀行』には『二、三の通訳のみがようやくコーヒーの味を知るのみである』とある。江戸時代の日本ではコーヒーは普及しなかった。
本格的な普及は明治も半ばを過ぎてから。明治時代に入ると西洋文化の象徴としてコーヒーを積極的に受け入れる姿勢が見えてきた。これは文明開化への憧れでもあった。日本で最初のコーヒー店は1888年4月に上野に開かれた『可否茶館(かひいちゃかん)』とされる。フランスの文学カフェをイメージしていたが、数年後に閉店した。
コーヒー輸入量は明治10年に初めて18トン、明治21年ごろに60トン程度、明治40年代に80トン程度と、まだ一般普及には遠い量だった。喫茶店が増えハイカラ好きの人々や文化人・芸術家が集いコーヒー文化と呼べるものが根付き始めたのは、明治の終わりに近くなった頃だった。
古くから栽培されてきたコーヒーはアラビカ種だが、19世紀後半にインド・インドネシアで『サビ病』によるアラビカの壊滅的被害があり、病虫害に強く生産性の高いロブスタ種への切り替えが広がった。
コーヒーには『アラビカ種』と『ロブスタ種』という品種がある(厳密にはリベリカ種もあるが現在ではほとんど生産されていない)。スペシャルティーコーヒーのほとんど全てはアラビカ種で、高品質コーヒーの必須条件と言ってよい。一方ロブスタ種は品質でアラビカに遠く及ばず、主に缶コーヒーやインスタントコーヒーに使われる。
【第4回: アラビカとロブスタ】
長年栽培されてきたのはアラビカ種だったが、19世紀にアフリカやアジアの一部生産地で急速にロブスタへの切り替えが起きた。理由はコーヒーの木の病気。アラビカは高品質だが病虫害に弱い品種で、これがはっきりしたのが19世紀後半のインド・インドネシアでの『サビ病』による壊滅的被害。当時はどの地域もほんの少数のアラビカの栽培で生産地が成り立っていたため被害は甚大だった。
これをきっかけに広まったのが、病虫害に強く低山地でも育ち生産性の高い『ロブスタ種』。ロブスタは19世紀終わりにコンゴで自生していたのを発見されたのが最初といわれる。1900年にオランダ人によってインドネシアやインドに持ち込まれ大規模栽培が始まった。インド・インドネシアでは現在生産のほとんどがロブスタ種。インドネシア産のマンデリンはアラビカ種だが、全生産量からすると極一部。
紅茶の『セイロン』も元々はアラビカ種の生産地だったが、サビ病の被害により紅茶栽培に切り替え、現在では世界的な紅茶産地として知られるようになった。その後何十年かにわたって、ロブスタはアフリカ、アジア、アメリカの新しい栽培地に広がっていった。
最初のコーヒーハウスは1554年にイスタンブールで開業し、1650年にイギリスのオックスフォードへ広がった。
【第3回: 最初のコーヒーハウス】
最初のコーヒーハウスは1554年にイスタンブールで開業した。その約1世紀後、1650年に『ジェイコブ』という商人がイギリスの大学町オックスフォードでコーヒーショップを開いた。
フランスで最初のコーヒーハウスは1671年にマルセイユで、パリにはその1年後に開かれたとされる。ウィーンでは、トルコ軍の侵略を瀬戸際で打ち負かし、敗走する際に残していった戦利品である500袋のコーヒー袋を元にコーヒーショップが開業したと言われる。
当時のコーヒーショップは、商人や知識人、芸術家たちの会合場所だった。このころのコーヒーハウスは女性禁制で、入れるのは男性のみ。さらに政治的問題を議論しあう場としても利用されることがあったため、時の政府に警戒される場所であったという記録も残されている。
当時のロンドンには『ロイズ・オブ・ロンドン』などの有名店を筆頭に、少なくとも2,000店ものコーヒーハウスが存在した。1750年頃からようやく女性の入店も許され始めたが『男性と離れた場所で』という条件付きで、この不公平が女性解放運動への最初の一歩となった。
ヨーロッパとコーヒーは密接な関係にあったが、消費が大きくなるにつれ需要増による価格高騰が問題に。ヨーロッパ人は安いコーヒー豆を生産するため、熱帯新地方のコーヒー生産地を求めて探索に駆り立てられた。
コーヒー普及以前のヨーロッパでは、パンの次に主要な食べ物は『沸かしたビール』で、17世紀末まで典型的なイギリス家庭の1日のビール消費量は3リットルに及んだ。
【第2回: ヨーロッパ人にとっての新しい飲み物】
ヨーロッパにコーヒーが持ち込まれたのは16世紀頃。現在、1人当たりのコーヒー消費量が世界第1位のフィンランドでは年間約12kg(1日約30g=約3杯)を1人で消費する。日本人は年間約3kgでフィンランドの約4分の1。ノルウェー、スウェーデン、ドイツ、オランダ、フランス、イタリアなど欧州には消費大国が多い。
【コーヒー普及以前のヨーロッパの食生活】
パンの次に主要な食べ物は『沸かしたビール』だった。17世紀末まで、典型的なイギリス家庭の1日のビール消費量は3リットルにも及んだ。『自家製ビール作り』は主婦の日常の仕事で、ビールを温めて塩コショウと卵を加え、最後にパンを入れたスープが朝食の定番だった。
【コーヒー爆発的普及の理由】
中世のヨーロッパ人の仕事は主に野外の肉体労働だったが、17世紀以降の中流階級はデスクワークや知的労働が増えてきた。ビールとは違って、コーヒーはより集中して長時間働くための重要な役割を果たした。体を使わず頭を使う仕事に、眠気覚まし効果のあるコーヒーはぴったりだった。これが、ヨーロッパにおいてコーヒーが爆発的に支持された理由。
コーヒーの長い旅はエチオピアから始まる。
イタリアのインポーター、ヴォチェンツォ・サンダィユ著『COFFEE 多様性の祝祭』を参考に、コーヒーの歴史について。
【第1回: 長い旅はエチオピアから始まる】
コーヒーが商業生産物になる以前、エチオピアの人々は森や家の近くの野生コーヒーの木から赤い実を集めていた。熟したコーヒーチェリーの赤い果肉は中央アフリカの儀式で今も使われ、果肉の絞り汁を抽出したり発酵させてアルコール飲料を作ったりしていた。アンデスのコカの葉のようにコーヒーの葉を噛んだり、お茶のように使ったりもしていた。
初めてコーヒーを商業生産物として栽培・普及させたのはアラブ人とされる。シバ王国の商品たちが種をエチオピアのカファ地方からアラビア半島へ持っていったと考えられているが、正確な日付は不明。
飲料としての始まりは、長時間続く宗教儀式の間に覚醒していられるようにコーヒーを飲んだスーフィー神秘主義者が最初との説が有力。アルコールを含まず精神を刺激し抽象的思想を深める文化にぴったりで、現代数学の誕生の原因ともいわれる。
14世紀の終わりにはコーヒーはイエメンで栽培。水が不可欠なので段々畑で灌漑栽培。イエメンは独占を守るため、輸出時は生豆が発芽しないよう予め茹でてから輸出していた。
15〜16世紀の間にイエメンから他のアラブ諸国に広まり、1500年代半ばにイスタンブールに到達。1600年頃、伝説のインド人巡礼者『ババ・ブーダン』がメッカからインドのチックマガール地方にコーヒーの種子をこっそり持ち出した。
1615年、ベネチア商人達がアレクサンドリアのトルコ人貿易商からコーヒー豆を購入し普及させた。これが西ヨーロッパに到着した初めてのコーヒーの貨物。貴族社会のヨーロッパで異国情緒あふれる飲み物は魅力的に感じられ、貴族→中流階級と熱狂的に広まった。ココアや紅茶、タバコもヨーロッパに持ち込まれた時代。一世紀近くベネチアがコーヒー輸入を独占し、後にマルセイユ、ロンドン、アムステルダム等の港にも広がった。
ピーベリーは通常2粒の種子のコーヒー果実の中に稀に1粒だけ丸く入っている豆。
コーヒーの果実(コーヒーチェリー)の中には通常2粒の種子が向かい合わせに入っているが、稀に枝の先端に付く実には1粒だけ丸い種子を含むものがあり、これが『ピーベリー』。ピーベリーのみを集めたロットは希少価値から高価で取引されることが多い。
【Q1&Q2: 味の違いと品種】
ピーベリーはアラビカ種の多くの銘柄に10%程度混入している(ブラジル系のブルボン種には少なく、ガテマラのパカマラ種、ケニアのSL28種などに多い)。当店の通常豆の中にもよく見るとピーベリーが混ざっている(形が小さめでコロンと丸い)。
『ピーベリー』として販売しているものは通常ロットから選別しただけで、形状が違うだけで『味の優劣』があるわけではない。同じ農園の通常ビーンズとピーベリーを飲み比べると『ピーベリーの方がおいしい』銘柄もあれば『通常ビーンズの方が美味しい』銘柄もあり、『同じ味』もある。飲んでみないと分からないのが本当のところ。
ただ、ピーベリーを選別出荷する農園はそれだけ管理がしっかりしている場合が多いので、ピーベリーの方が『高品質な可能性が高い』とは言える。
今年は今のところピーベリーで良いものには当たっていないが、去年の『ケニア・ムチャナ農園』のピーベリーは風味が素晴らしかった。コーヒーは同一農園でも収穫年やロットで味が変わる。『ピーベリーか否か』よりも、味と風味の素晴らしさをお客様に伝えるのがコーヒー屋として最も重要。
細挽きで湯温を下げる考え方は正解だが、家庭で安定した味を出すなら中細挽き以上に粗めに挽く方が簡単。
細挽きで雑味を出さないようにする方法として、湯の温度を下げる必要がある。考え方としては正解。
ただし家庭で安定した味を出すには、挽き加減は中細挽き以上粗く挽いた方が抽出が簡単。細挽きで低温抽出も良いが、少し粗めに挽いて粉の量で濃度を調整したほうが味が安定する。
理由: コーヒーの成分が溶け出す温度帯は銘柄や焙煎度によって変わるので、一概に『この挽きはこの温度』とは言えない。同じ細挽きでも深煎り(細胞が膨らんだ豆)は温度を下げる必要があり、浅煎り(細胞が小さい)は温度を上げる必要がある。この最適温度を見つけるには同じ銘柄で何度もテストする必要があり、家庭では厳しい。
粗めに挽いて粉の量で調整する場合は温度を90度程度で一定に。中細挽き以上なら雑味は出にくいので、粉の量だけで濃度調整すればよい。
【重要】一度に2つのファクターを同時に変えるのはNG。『もう少し濃くしたいから粉量を増やして細挽きにもする』のような変更は、どちらが原因かわからなくなる。粉の量か挽き加減、どちらか1つだけを変えるのがポイント。
・家庭用ミルでは微粉が多くメッシュが安定しない
・湯温が1度違うだけでも味が大きく変わる
・湯温が高いと短時間でもすぐに雑味が出る
『同じ温度・粉量で中挽きより細挽きの方が美味しかった』と感じるのは、中挽きの抽出失敗ではなく『細挽きより濃度が出なかったためコクが無く感じられただけ』の場合がほとんど。抽出の失敗ではなく濃度が好みでなかったということ。この場合は粉量を増やせばよい。
当店推奨: 『中細挽きで90度程度、3分以内の抽出』が最も経済的で味が安定する。
抽出の大原則は『コーヒーの持っている美味しさ以上の味は絶対に出せない』。
【大原則】『抽出によって、コーヒーの持っている美味しさ以上の味は絶対に出せない』。抽出は単純に言えば『お湯でコーヒーの粉を溶かしている』だけ。ただしコーヒーには旨み成分のほかに雑味(渋味・えぐみ)もあるので、雑味を抽出せず旨みだけを取り出すのが抽出の目的。
上手な抽出=『雑味が入っていない、適度な濃度のコーヒー』
1. おいしい成分をしっかり抽出する
2. 好みの濃度に調整する
不味い原因の3パターン:
・駄目な成分を抽出してしまった
・美味しい成分が抽出できていない
【重要】成分は溶け出す温度と時間が違う:
・おいしい成分=比較的低温・短時間で溶け出す
・駄目な成分=高温で溶け出しやすい、低温では時間がかかる
イメージ: おいしい成分が『雪』、駄目な成分が『氷』。雪で氷を包んだ『雪球』に水をかけると、雪が先に溶けて氷は時間がかかる。
挽き加減=雪球の大きさ:
・粗挽き: 大きな雪球が密集 → 表面積小、抽出量少なく雑味も出にくい
・細挽き: 小さな雪球が密集 → 表面積大、抽出されやすいが雑味も出やすい
細挽き → お湯の温度を下げて悪い成分が溶け出しにくくする
粗挽き → (1)温度を上げて悪い成分が出る前に短時間抽出 (2)粉量を増やして表面積を増やす
一番簡単なのは挽き加減を一定にして豆量で濃度調整。粗挽き1人前15g、90度短時間なら雑味は出ない。経済的には1人前10g・中挽き〜中細挽き・85〜90度が安定。
【極論】以下3点で雑味は絶対出ない:
この方法で『うまい/まずい』を感じる原因は濃度だけ。あとは豆の使用量で好みに近づければよい。抽出に特別な技やタイミングは不要。
アラジンと珈琲きゃろっとの共同開発『アラジンコーヒーブリュワー』がMAKUAKEで予約開始。
今日は号外。アラジン×珈琲きゃろっとの共同開発プロジェクト『アラジンコーヒーブリュワー』が昨日からMAKUAKEにて予約開始。
2021年9月、きゃろっとに『アラジンからメールが来た。コーヒーメーカーの開発協力をきゃろっとにしてもらいたいって』というメールが届いた。アラジンはストーブやトースターでおなじみのブランドで、『うちみたいな小さなコーヒー屋に!?』と工房がざわついた。
それから約1年半、アラジン側は2019年のプロジェクトスタートから3年、トースター以来の一大プロジェクト。試作機が完成し、これから量産体制に入り、3月末から順次発送。4月以降一般販売予定。
アラジンのものづくりへのこだわりはさすがで、開発チームも同じ方向を向いていたので意思疎通がスムーズ、焙煎機の開発と通じるものがあった。
最も大切にしたのは『今、きゃろっとを応援してくださるお客様を、がっかりさせるような仕事は絶対にしない』こと。名前を貸しただけの『なんちゃって監修』ではなく、がっつり、みっちり開発に関わっている。『きゃろっと、魂売ったな』と思われないように。
そのため、報酬やロイヤルティは一切受け取っていない。純粋に『お客様がおいしいコーヒーを飲むためのコーヒーメーカーを開発したい』という思いで関わった。最終試作機では『僕がいれたのと同じクオリティ』で入る。
おすすめは象印EC-AJ60が最も美味しく入り、適当なハンドドリップよりおいしい。
結論から言うと、今まで試したコーヒーメーカーでは象印EC-AJ60が最も美味しく入った。適当なハンドドリップよりおいしいコーヒーが入る。他にはパナソニックNC-A56もおすすめ。
新鮮なコーヒー豆を使用する前提なら、価格.COMや大手ショッピングモールのランキングやユーザーレビューは全く当てにならないので要注意。
理由: 古くなった市販のコーヒー豆と、焙煎後間もない新しいコーヒー豆は抽出効率が全く異なる。
・市販コーヒー: 焙煎から日数経過で豆が硬くなり、高温でなければ成分が抽出できない
・鮮度の新しい豆: 成分が溶け出しやすく、温度が高すぎると苦味や雑味まで抽出過多に
一般的なレビューは市販豆の感想なので、新鮮な豆で淹れる場合は参考にしないほうがよい。市販のコーヒーメーカーは『高温抽出』を売りにした商品が多く、古い豆をいかに効率良く抽出するかに重点が置かれている。象印も高温抽出を謳うが、実際は苦味が出にくく湯温はそれほど高くないと思われる。
一般的なコマーシャル/コモディティコーヒーはNYの先物取引で価格が決まり、日本に入るまで10社以上を通すため中間マージンが大きい。
市場に出回る『コマーシャル/コモディティコーヒー』はNYの取引所で価格が決まり、産地も消費者も関われない。日本国内に入るまで10社以上通すため中間マージンが大きい。通常のアラビカ種の国際価格は商品先物市場で決まり、生産コストは考慮されない。需給バランスのみで決まるため、相場低迷時は小規模農家は生産コストすら賄えず、肥料や子供の教育費もままならなくなる。
一方スペシャルティグレードはNY相場とは別で価格が決まる。主に『農園との直接交渉』や『国際オークション落札』。国際オークションは年間10袋しか生産しない小規模農園でも参加可能(カップオブエクセレンス等)。当店から落札価格がネットで閲覧可能で、手数料を除きほとんどが生産者の手取り。商社1社のみ通すので中間マージンはほぼない。法外なマージンを乗せられず自然と適正価格になる。
日本国内のスペシャルティ流通割合はまだ数%のみ。『大量生産・大量消費』が現実だが、スペシャルティという概念によって生産者にとって良い兆しが見えてきた。
■映画『コーヒーの真実』について
語られていることは一部正しいが全てを鵜呑みにするのは危険。『先進国ではいくらで売られているか』という質問シーンで現地の人が怒ったが、消費者にわたるまでのコストや消費国の物価を説明せずに最終価格だけ伝えるのはおかしい。
また『貧しい=かわいそう』は先進国の勝手な思い込みの側面もある。妹(元ウガンダボランティア)によれば『国は貧しいが自分を不幸と思っている人は本当に少ない。活気に満ち明るい。貧しいからかわいそうだなんて思わないでほしい』とのこと。
支援の話: ある村でヨーロッパの団体がPC・ゲーム・食料を置いていった後、農業技術を教えていたボランティアに『で、あんたは何をくれるんだい?』と言われた。支援依存型の人間を育てるのが支援か?
『魚を与えるよりも、魚の釣り方を教える』。物事は常に多面性を持つ。情報を取捨選択し『自分の意思で』選択して生きていくことが大事。
松屋式のポイントは『半分の量で抽出を止め、残りはお湯を足す』こと。
松屋式のポイントは『半分の量で抽出を止め、残りはお湯を足す』こと。お湯を足しても薄くならず、しっかりしたコーヒーになる。
松屋式は、短時間でコーヒーの旨み成分を高濃度で抽出することで、雑味成分が溶け出す前に抽出をストップする方法。そのため後でお湯を足しても薄くならない。
高濃度のコーヒーを抽出するための3要素:
・くぼみをつける → 層の厚さを均等にする
・長く蒸らす → 豆内部の炭酸ガスを完全に抜き、お湯とスムーズに交換することで効率良く成分を抽出できる体制を作る
・ひたひた状態での抽出 → 粉の層全体から均一にすばやく成分を一気に抽出
粉を粗挽きにするのは、中挽きより細かいとお湯を注いだときに粉が浮いて均一抽出できないため。粗挽きにすることで粉がドリッパー内で暴れないようにする。
通常ドリップは炭酸ガスによるスポンジ機能を維持しながら抽出するので大人数分だと時間が掛かり雑味が出やすい欠点があるが、松屋式は抽出時間が半分で済むため大人数でも美味しい。
【欠点】松屋式は水道水のカルキ臭がカップに残りやすい。通常ドリップは全てのお湯が粉の層を通るため粉が活性炭の役割を果たしある程度のカルキ臭を除去できるが、松屋式は半分のお湯が粉を通らずに直接コーヒー液に入る。浄水器使用なら問題なし。
当店の抽出方法も松屋式と基本的な考え方は同じ。
4人前以上は『松屋式』がおすすめ。
大人数分をペーパーで抽出する場合、粉の層が厚くなり抽出に時間が掛かる。長時間抽出は雑味が出るが、お湯を早く注ぎすぎると薄くなる。松屋式はこの欠点をカバーできる。
1. 1人前約10gのコーヒー豆を『粗挽き』に
2. ドリッパーに入れて粉の真ん中にくぼみをつける(層の厚さを均等にするため)
3. 粉全体にお湯が行き渡るまでお湯を注ぐ(蒸らし)
4. 3〜4分しっかり蒸らす(炭酸ガスが完全に抜けるまで)
5. 蒸らしが終わったら湯をまんべんなく常にゆっくり注ぐ。通常は膨らむが松屋式は炭酸ガスが抜けているので膨らまない。お湯は粉面よりも出るか出ないかのひたひた状態で注ぎ続ける
6. 人数分の約半分まで来たら抽出ストップ
7. 人数分の量になるまでサーバーに直接お湯を足す
次回は松屋式のポイントと欠点について。
ペーパー(透過法)はお湯を注ぐ動きで粉が絶えず撹拌され成分が速く溶け出すが、カフェプレス(浸漬法)は揺するだけで撹拌されず、4分経っても雑味が出にくい。
ペーパードリップ等は『長くても4分以内』と説明しているが、カフェプレスは4分以上漬けると説明している。矛盾するようだがカフェプレスは4分お湯に浸しても過抽出にならない。
『過抽出』とは『コーヒー豆の良い成分も悪い成分も溶け出してしまった状態』。悪い成分も抽出されるため雑味・渋味・嫌味な味になる。
カフェプレスとペーパードリップは『浸漬法』と『透過法』という異なる抽出方法で、成分の溶け出す時間が変わる。
透過法(ペーパー)はお湯を上から注ぐことで粉が絶えず撹拌された状態になり、成分が溶け出すスピードが速い。
カフェプレス(軽く揺するだけの淹れ方)はコーヒー液が撹拌されずゆっくり溶け出すので、4分経過しても雑味成分が溶け出さない。
撹拌は摩擦運動を盛んにし熱伝導率を良くする。水に氷を入れて放置するより混ぜたほうが早く溶けるのと同じ原理。ペーパーで『ゆっくりと粉に乗せるようにお湯を注ぐ』と言うのも、粉が暴れる過抽出を防ぐため。
抽出は十人十色。『粗挽きに熱めで短時間が正しい』『いや細挽きにぬるめが正しい』はどちらも正解。粗挽きは雑味が出にくいがお湯が低いと美味しい成分も不十分なので、温度を上げて短時間にして悪い成分が出る前に抽出終了。細挽きは挽きが細かい分ぬるくして悪い成分を抑え、細かさで美味しい成分は抽出できる。
多くのプロは『なぜそうなるか』の根本を理解していないため『自分の入れ方が正解』となる。理屈で覚えると応用が利き抽出の幅が広がる。
カフェプレスの淹れ方: 1杯120ccあたり中挽き〜中細7〜8gの粉を入れ、90度のお湯を『注ぐ量÷145×7g』で計算し、半分注いで軽く揺すり、残りを入れて4分待ってプレス。
【カフェプレスで美味しく淹れる方法】
(1)1杯(120cc)あたり約7〜8gの粉(中挽き〜中細)をプレスに入れる
(2)90度程度のお湯を抽出分量より少し多めに注ぐ(沸騰したお湯を少し冷ました位)
(3)半分程度のお湯を入れて軽く揺すって粉にお湯を馴染ませる
(4)すぐに残りのお湯を注いでフタをセット
(5)4分待ってからつまみをゆっくり下げる
(6)カップに注いで完成
ポイントは(3)。かき混ぜると雑味が出やすいので『ゆする』ようにして馴染ませる。
お湯の量の計算は『注ぐお湯の量÷145cc×7g』で豆量を決める。例: 350ccなら350÷145×7=約17g。1人前は120ccだが粉に吸収される分があるため145ccで割ると丁度良い。
[余談] カフェプレスは『スペシャルティコーヒーを淹れるには最適』と言われる。品評会(カップオブエクセレンス等)でも粉グラスに150ccのお湯を注ぎ4分待ってカッピングする浸漬法が使われ、コーヒーの個性がはっきり出やすい。素晴らしい風味のコーヒーはその個性が最も感じられる抽出方法と言える。
※一番美味しい抽出方法ということではない。好みによって変わる。
ただし品質の悪いコーヒーをプレスで淹れると不味さがモロに出るので、新鮮で高品質の豆が必須。
メリットばかりに感じるプレスだが、当店で最もおすすめしたいのはネルドリップ。プレスは微粉でコーヒー液が濁るので『粉っぽい』と感じる人には向かない。『琥珀色の透き通ったコーヒー』が好きな人にも不向き。ただし抽出の安定性とコーヒーオイルを楽しめる点では優れている。好みとライフスタイルに合わせて選ぶのもコーヒーの楽しみ。
原因は『抽出したコーヒーをかき混ぜずにカップに注いだから』。
正解は『抽出したコーヒーをかき混ぜずにカップに注いだから』。
コーヒーは最初の2湯目位までにほとんどの成分が抽出される。抽出時にサーバーに落ちてくるコーヒー液をよく観察すると分かりやすい。前半はとても濃いコーヒー液が抽出されるが、後半になるにつれ液はどんどん薄くなり、最終的には薄茶色の水っぽい液体になる。
つまり抽出直後のサーバーの状態は『底に近い部分ほど濃く、上澄みは薄い』という状態。濃いコーヒー液は水よりも比重が大きい(重い)ため、前半の液はサーバーの底に溜まり、後半の軽い液は上部に留まっている。
4つのカップに注いだ際、最初に上澄み部分が入ったものが薄く、最後に注いだものが濃くなっていたはず。
この現象はドリッパーとサーバーの高低差があまりない場合に起こりやすい。抽出時にコーヒーがサーバーに落ちる際、ある程度の高さがあれば衝撃で上手く撹拌され濃度差は生まれにくい。しかし距離が近いとあまり撹拌されず、この現象が起こりやすい。
したがって4人分など多めの抽出をした場合は、抽出後に軽くかき混ぜてからカップに注ぐようにするのが正解。
焙煎直後はツンとした角のある味で、3〜4日経つと丸みのあるまろやかな味になるため『スパイシー感が薄れた』と感じる。
焙煎したての豆は間違った保存方法をしなければおよそ1ヶ月は美味しく飲める(間違った保存だと2、3日で味が変わる)。当店では常温1ヶ月とお伝えしているが、実は当店の豆は高温多湿を避けて保存すれば常温でも2ヶ月美味しく飲めるよう焙煎している。
夏場の環境差があるため、現在は以下の順で推奨:
1. 冷凍庫に空きがあるなら冷凍保存
2. 冷凍庫が無ければ冷蔵保存
3. どちらも無ければ常温保存
冷蔵・冷凍は結露と臭い吸着のリスクがあるので:
■しっかりジップを閉める
■使う分を取り出したらすぐ冷蔵庫に戻す
これを守れば豆のままなら冷凍で1年以上(実験では2年でも美味しい)、冷蔵で3ヶ月程度は美味しさ保持できる。
【原因1】嫌な味・香りになった場合
冷蔵庫の他の食品の臭いを吸着している可能性。コーヒーは臭気を吸着する性質がある。また結露は豆の鮮度を急激に劣化させる。
【原因2】風味が最初より強くなった場合
焙煎直後よりも焙煎後3日目位から香りが徐々に強くなり、1〜2週間が最も香り高くなる。その後ゆっくり弱くなり約1ヶ月でほとんどなくなる(当店の豆は1ヶ月は抜けない)。モカなど風味豊かな銘柄は焙煎直後と1週間後で誰が嗅いでもわかるほど違う。
【原因3】何日か経つと味がまろやかになった場合
焙煎直後は角のあるツンとした味で、日が経つごとに丸みのあるまろやかな味に。焙煎直後の方がスパイスのようにピリッと感じる。質問者のケースはおそらくこれが原因。焙煎直後より3、4日経過してからの方が味わいが出る。
そのモカはおそらく中深煎り以上に焙煎されたモカ。
お客様が飲まれていた『モカ』は酸味が無かったとのことなので、おそらく焙煎が深いモカだったのだと思う。イエメン産のモカは火が通りやすいので、中深煎り位まで焙煎が進むと酸味はほとんどなくなる。
モカは『モカフレーバー』という風味が一番の特徴だが、この独特の風味は深煎りよりも浅煎りのときに顕著に感じられる。そのため浅煎りで酸味が残る位で販売するお店が圧倒的に多いので『モカは酸味のコーヒー』という認識が一般的。
ただ、モカも焙煎が深くなると酸味はゼロになるので、『この産地はこんな味のコーヒー』と産地だけで味を決めつけてしまうと、『同じ銘柄なのにいつもの店と全然味が違う』となってしまう可能性がある。
ブルマンの場合も『ブルマン=酸味のコーヒー』ではなく『ブルマンの浅煎り=酸味のコーヒー』という認識で選んで頂くと、より好みの味にたどり着ける可能性が高い。『こないだの店で買ったブルマンは浅煎りで酸っぱかったけど、今回のお店は深煎りだから酸味はないだろう』と選ぶ判断基準が広がる。
『ブルマンの浅煎り』は酸っぱくて美味しくないと感じても『ブルマンの中煎り』は美味しく感じるかもしれない、というのがコーヒーの面白さであり奥深さでありちょっとややこしいところ。
酸化した酸味とフレッシュな酸味は別物だが、フレッシュな酸味でも『酸っぱいから嫌い』というお客様はいる。当店のコーヒーはすべて酸味を活かした味づくり。判断基準が増えるとコーヒー選びも楽しくなる。
色が薄くカサカサしているのは焙煎度が浅いから。
色が薄くて、カサカサしているのは焙煎度が浅い豆だったのだと思う。コーヒー豆は焙煎度が深くなればなるほど豆の細胞が膨張するのでシワが伸び、見た目もふっくらと膨らんでくる。
浅煎り豆の場合は、まだ細胞があまり膨らんでいないので豆にシワがあり、見た目もカサカサしている。もちろん、銘柄や産地によっても豆の見た目はかなり違うので一概には言えない。カサカサしているからといって美味しくないとも断定できない。
※珈琲のおいしさと見た目は完全にはリンクしない。当店の中煎りの豆も見た目はカサカサしている。焙煎が深くなると、コーヒー豆の脂分が表面に出てコーティングされたような艶のある見た目になる。
香りが弱い原因は、焙煎方法と生豆の品質の違いによるところが大きい。どちらが駄目でも出来上がりの香りに大きく影響する。どんなに良い豆を使っても焙煎が適切でなければ香りは出ないし、どんなに優れた技術をもっていても生豆の品質以上の香りは出せない。
自家焙煎店というのは、同じ豆を使っていても焙煎方法が千差万別なので、お店によってかなり味が変わる。嗜好品なのでどの味が正解とは言えないが、近くのお店を色々と試してみてお口に合うお店を探すのも面白い。
それは『チャフ(シルバースキン)』で、生豆についている薄皮の焼け残り。
白い(黄色っぽい)皮は浅煎り〜中煎り、タンザニアやガテマラなどのコーヒー豆を挽いたときによく見られる。これは『チャフ(シルバースキン)』と呼ばれる生豆の薄皮の焼け残り。
コーヒー豆の真ん中の『センターカット(溝)』に焼け残ったチャフが付いており、ミル粉砕時に出てくる。品質には問題ないが、一般的には『渋み』の原因とされる。挽いた後に『ふっふっ』と息を掛ければ大きいものは取れる。
きゃろっとの豆は精製状態が良いのでチャフによる味への影響は限りなく少なく気にしなくてよい。一般流通品グレードは精製が悪く、焼け残ったチャフから雑味が抽出されるため取り除いた方がよい。
チャフの混入率は銘柄と焙煎度で大きく変わる:
・マンデリン、タンザニア、ガテマラ=残りやすい
・ブラジル=豆がやわらかく焙煎中にチャフが焼け切るため残りにくい
・深煎り=チャフはすべて燃えてなくなる
・浅煎り=チャフが多く残る
『チャフが無い=美味しい』ではない。飲んでおいしいと思うかが一番大事。
マンデリン(インドネシア産)は『アーシー(土のような香り)』が特徴で、欧米では嫌う人も多いが日本では納豆やくさや文化から好まれる傾向。
マンデリンはインドネシア産の豆で香りが独特。コーヒーの香りは土壌の影響を強く受け、インドネシア産コーヒーは『アーシー(土のような香り)』が特徴。この香りが強いほど高評価になる。
欧米ではこの独特な香りが嫌いな人も多いが、日本では納豆やくさやなどクセのある香りや味を好む傾向があり、マンデリン独特の香りが好まれている。非常に個性の強い銘柄なので、質問者のように香りが合わない人もいる。
きゃろっとの『マンデリン・スマトラタイガー』は特にインドネシア産コーヒー豆の香りが際立って強い。
他の個性派: マンデリンの他、イエメンやエチオピアなどのモカ系の豆も花やワインのような香りが特徴で好みが分かれる。
飲みやすく多くの人に好まれやすいのは、ブラジル・ガテマラ・コスタリカなどのウォッシュト精製コーヒー。銘柄選びで迷ったら気軽に相談を(買ってお口に合わないともったいないので)。
家庭で飲まれる市販コーヒー豆はほとんどが酸化した古い豆。
確かに多くのコーヒーメーカーで『高温抽出』『ダブル加熱』などの売り文句が使われ、『低温抽出』のコーヒーメーカーはあまり見かけない。なぜわざわざ美味しくない抽出温度帯をキャッチコピーにしているのか?
理由: 家庭でレギュラーコーヒーを飲む人のほとんどはスーパーで市販のコーヒー豆を買う。市販のパッケージ商品は焙煎後かなりの日数が経過しており、酸化している。
酸化して古くなったコーヒー豆は細胞が硬くなり抽出効率が悪い。つまり熱いお湯で抽出しないと成分が溶け出さない。きゃろっと式の低温抽出だと温度が低すぎて成分が出ず濃度が出ない。
コーヒーメーカーは一般的なお客様(=市販の酸化豆を使う層)向けに商品を作るため、濃く抽出するための高温抽出機を開発している。これが『高温抽出』のキャッチコピーが多い理由。
自家焙煎店で新鮮豆を買ってコーヒーを淹れるのは、まだまだ少数派ということ。
原因は焙煎度。
豆の膨らみが弱いのは鮮度ではなく焙煎度が原因。
膨らみのメカニズム: お湯を注ぐと豆の細胞にお湯が入り、豆内部の炭酸ガスが急激に放出されて膨らむ。焙煎で豆の細胞が膨らみ無数の小さな気泡ができ、その一つ一つに炭酸ガスが含まれる。
焙煎度との関係: 気泡は焙煎が進むほど大きくなる。つまり浅煎りほど気泡が小さく炭酸ガスの含有量も少ないため、膨らみが弱い。逆に深煎り(マンデリンなど)は炭酸ガスの含有量が多く、お湯を注ぐと大きめの気泡でもこもこと膨らむ。
シティロースト位が最もきめ細かく綺麗に泡立ちよく膨らむ。ハイロースト以下の浅煎り銘柄はお湯を注いでも膨らみは弱く、完全に膨らまなくなるまでの日数も深煎りより短い。
重要な注意点: 『よく膨らむ=新しい豆』は正しいが、『よく膨らむほど美味しい』は誤解。どんなに下手な焙煎でも深煎りならよく膨らむ。浅煎りは焙煎直後でも膨らまない。豆の膨らみはコーヒー屋が鮮度の良い豆を出しているかの『目安』程度に考えるとよい。
1人前(12g)程度なら配合比の誤差は約10%程度に収まる。
実験: 焙煎度を変えた3種類の銘柄を各100gずつブレンドし、そこから12gをメジャースプーンで計量、1粒ずつ数える作業を10回繰り返した。コーヒー豆12g中には約80〜110粒入っている。
結果(12g中の平均値):
ブラジル 3.9g / エチオピア 4.1g / ガテマラ 4.0g / 合計12g
10回中最も誤差が大きかった場合でも:
ブラジル 3.5g / エチオピア 4.5g / ガテマラ 4.0g / 合計12g
1人前(12g)の場合でも配合比率の違いは10%程度の誤差に収まる。ほぼ配合比が保たれている。
2人前、3人前と使う豆量が増えるほどコーヒー豆の粒の絶対量が増え、統計学的にも誤差はほぼ無くなる。したがって1人前では若干の味のブレがあるかもしれないが、2人前以上ならブレンド配合率を気にする必要はない。
一度冷凍したコーヒー豆は必ず使う分以外は冷凍保存すべき。
【理由1: ドリップ現象】
原理は肉や魚の冷凍と同じ。肉を冷凍解凍すると水分と肉汁が流れ出す(ドリップ現象)。これは冷凍で水分が膨張し細胞が破壊されるため。
焙煎後のコーヒー豆にもわずかに水分が含まれており、冷凍すると細胞が破壊される。解凍時に破壊された細胞から旨み成分である脂分が溶け出す。すぐ飲むなら問題ないが、解凍後常温保存すると溶け出た脂分が酸素に触れて酸化し急激に劣化する。さらに細胞が破壊されると豆内部の炭酸ガスも抜けやすくなり、お湯を注いでも膨らまず蒸らしもできなくなる。
冷凍→解凍→冷凍を繰り返すと細胞の破壊が進み鮮度が激しく劣化。
【理由2: 結露による鮮度劣化】
結露=『飽和水蒸気量の限界を超えた』時に発生する現象。飽和水蒸気量は気温が低いほど低くなる。
夏場などに冷凍豆を常温放置すると、冷たい豆表面付近で空気中の水蒸気が飽和水蒸気量の限界を超え、水滴として豆表面に現れる。結露はコーヒー豆に取り返しのつかないダメージを与えて鮮度を急激に劣化させる。
結論: 一度冷凍したコーヒー豆は必ず使う分以外は冷凍で保存する。
生豆の汚れは産地や農園で差があるが、焙煎時に200度以上で焼かれるため衛生上は全く問題ない。
汚れについて: 生豆の汚れは産地・農園によって日本到着までのプロセスが違うためかなり差がある。ただし焙煎時に200度以上の釜で焼くため完全に殺菌され、衛生上は全く問題ない。
スペシャルティコーヒー: 精製が丁寧なので生豆の状態でも非常に綺麗。安心して飲める。
コモディティーコーヒー(一般流通品): 産地によってはカビ・泥・チェリーのくず・他の穀物のカスなどが入っていることも珍しくない。機械でごみは取り除かれるが、個人的にはあまり飲みたくない。缶コーヒーや安いレギュラーコーヒーとして流通している。
農薬について: コーヒーは農作物なので輸入前の厳しい検査があり、日本の基準はアメリカの60倍厳しい。危険なものは輸入されない。
注意点: 海外で焙煎された焙煎豆を購入する場合、日本より基準が緩い国で焙煎されていると残留農薬の危険はゼロとは言えない。
きゃろっとの豆は一般流通品に比べ大幅に農薬が少ないか無農薬栽培。化学肥料・農薬を多用すると土が枯れ、高品質のコーヒーを継続的に育てられないため、品質重視の農園は農薬を控える傾向にある。
C.O.Eは相対評価ではなく絶対評価(85点以上)で審査される。
C.O.Eの意義: 厳しい品質評価基準で、相対評価ではなく絶対評価(85点以上)。上位数農園が必ず入賞する方式ではなく、一定スコアに達しなければ入賞不可。85点は栽培から精製まで丁寧な仕事がなければ達成できない難しい点数。
従来の買取システムの問題: 商社が価格を叩くため生産者は大量生産を強いられた。例えば買取1袋1000円で、小規模な瓜生農園(100袋)は10万円、広大な内倉農園(5000袋)は500万円。『お金がほしければ沢山作れ』という構造だった。
C.O.Eが変えたもの: 瓜生農園が高品質豆でC.O.Eを勝ち取れば、オークションで1袋10万円の高値がつき、100袋×10万円=1000万円という大金に。生産量が少なくても品質で大金を得られる仕組みに。
・受賞農園は世界から『品質向上に努力する生産者』として認知される
・地域全体の品質向上競争につながる
・『品質の良い豆は適正な価格で買い取るのが当たり前』が世界の常識に
・カッピングスキルを持つマイクロロースターやバイヤーが誕生
・C.O.E出品していなくても高品質豆が適正価格で取引される仕組みが世界中に広がった
かつては品質が二の次で大量生産が重視されていたが、C.O.Eがこの状況を改善してきた。
カッピングジャッジとして最も名誉ある仕事はコーヒー品評会の最高峰『カップ・オブ・エクセレンス(C.O.E)』。
カッピングジャッジの評価の舞台として最も名誉ある仕事がコーヒー品評会の最高峰『カップ・オブ・エクセレンス(C.O.E)』。
C.O.Eは生産者と消費者を結ぶ品評会で、世界中のコーヒー豆が審査され、インターネットオークションで世界中の業者が入札。落札代金は全て生産者に渡る。最初ブラジルで始まり、現在は10カ国で開催。
審査プロセスは3段階:
第1段階: 出品された豆の中から『スペシャルティコーヒー(80点以上)』の最低基準に達しているかをチェックし、達しないものはふるい落とす。
第2段階: 残った豆を審査員による『目隠しテスト』でトップグループを選出。
第3段階: 3日間にわたるコンペティションを経て、85点以上のスコアを獲得した『最高の中の最高』にカップ・オブ・エクセレンスの称号を授与。
C.O.E受賞豆はスペシャルティコーヒーの中でもとりわけ品質が高いコーヒー豆。生産者にとっては最高の名誉であり、カッピングジャッジにとっても自分が評価したコーヒーが国際オークションで高額落札される名誉ある仕事。
カッパーは『カッピングフォーム』という味の通信簿を使ってコーヒーを評価する。
カッピングジャッジ(カッパー)がコーヒーの味を評価する際に使うのが『カッピングフォーム』という味の通信簿。
ポジティブチェック項目(10点満点):
・フレグランス、アロマ(香り)
・アシディティ(酸味)
・アフターテイスト(後味)
それぞれカッパーが感じた特性も明記(『ナッツのような香り』『フルーツのような酸』など)。
ネガティブチェック項目(欠点の有無):
・ユニフォーミティ(味の均一性)
・クリーンカップ(味の透明度)
・スウィートネス(甘み)
最後に『オーバーオール』でカッパーの好みも含めた総合評価。
全項目合計で100点満点。80点を超えるとスペシャルティコーヒーと認定される。つまり『スペシャルティコーヒー=カッピングジャッジによって80点以上の評価を受けたコーヒー豆』。
カッピングジャッジは2009年に内倉も取得した国際コーヒー鑑定資格。
カッピングジャッジ=コーヒー鑑定の世界基準となる国際鑑定資格。内倉は2009年に取得。
従来の品質判定: 生産国ごとに独自の基準
・グァテマラ: 標高が高いほど高評価、4500フィート以上でSHB(ストリクトリーハードビーン)が最高格付
・コロンビア: スクリーンサイズ(豆の大きさ)で評価、最大粒が『スプレモ』
・ブラジル: 欠点豆の数・豆の大きさ・味の3基準。味は『欠点が無いか』というネガティブチェックのみ。最高格付はNO.2/スクリーン19/ストリクトリーソフト
問題点: 多くの国で『見た目』や『標高』などで評価され、『おいしいかどうか』は判断していない。ブラジルの味評価もネガティブチェックに過ぎない。
そこで『そのコーヒーがどれだけおいしいか』『どのような風味の特徴があるか』にフォーカスした世界共通の『おいしさの基準』を作ろうと誕生したのが『スペシャルティコーヒー』の概念。
スペシャルティコーヒーの鑑定を行える人が『カッピングジャッジ』。つまり『世界中のコーヒーの品質を同じ物差しで評価できるコーヒー鑑定士』。
コーヒーに向いているのは『軟水』。
硬水か軟水か: コーヒーに向いているのは『軟水』。硬水は苦味が強調されるため向かず、ヨーロッパなど硬水地域のカフェはほとんど軟化装置を設置している。軟水で淹れると味がまろやかに。日本の水はほとんど軟水なので抽出に向く水質。
市販水の選び方: 裏面の硬度表記を確認。0〜60mg/Lは『軟水』、60〜120mgは『中程度の軟水』、120mg/L以上は『硬水』。コーヒー用には60mg/L以下を選ぶとよい。
湧水: 軟水の湧き水を使えば水道水のカルキ臭もなく、まろやかで非常においしいコーヒーが淹れられる。浄水した水道水よりもなめらかで角の無い丸みのある味になる。
きゃろっとは北海道恵庭の漁川(いざりがわ)水系の水道水を業務用浄水器で濾過して使用。
P.S. 白樺樹液(99%が水)でコーヒーを淹れると砂糖を入れたように甘いコーヒーになった。手に入る方は試してみると面白い。
精製は赤い実から果肉を取り除き生豆にする工程で、大別して『ナチュラル(自然乾燥式)』と『ウォッシュト(水洗式)』の2種。
精製=赤い実から果肉などを取り除き、洗浄・乾燥・脱穀などをする工程。『ブラジル・ナチュラル』『エチオピア・ウォッシュト』などの表記はこの精製方法を示す。
■ナチュラル(自然乾燥式): 収穫したチェリーをパティオに広げ天日乾燥→脱穀→水分量10〜12%まで再乾燥。工程が単純でコストが低く、ブラジルやイエメンなど水源の少ない広大な土地で多用。
【特徴】コスト安・水不要・天候に左右される・欠点豆混入しやすい
【風味】酸味苦味が穏やか、果肉が発酵し独特の風味、よく管理されたものは豊かなボディと甘み
■ウォッシュト(水洗式): チェリーを水槽に入れ密度の低い豆(不良品)を浮かせて除去→パルパー(果肉除去機)で果肉除去→1日放置し発酵分離→水路で洗浄→水分12%まで乾燥。工程が多くコスト高だが不純物少なく高品質。
【特徴】外見きれい・高品質多い・コスト高・水必要・手抜きで発酵ダメージ
【風味】酸味豊か、フルーツのような香り、クリーンカップが良い
ナチュラル豆は白に近い緑、ウォッシュト豆は濃い緑(水分多い)。焙煎時にも水分が抜けにくく酸味が残りやすい。
最近は両者の中間『セミウォッシュト』やコスタリカの『ハニー』など新精製も普及。どんな良質な豆も精製で手抜きすれば腐敗臭などが出るため、精製は極めて重要なプロセス。
生豆(なままめ)は焙煎前のコーヒー豆の状態で、薄緑色をしている。
生豆(なままめ)とは、焙煎をする前のコーヒー豆の状態のこと。薄緑色をしていて、熱処理(焙煎)によって見慣れた茶色のコーヒー豆になる。
コーヒーの実は赤いチェリー。チェリーの皮を剥くと黄色い果肉があり(食べると甘い)、その果肉の中心に2つの種が向かい合わせで一対になっている。種の周りには『パーチメント』という薄い殻がついており、それを剥がすと薄緑色の種が現れる。これが生豆。生豆=コーヒーの木のタネ。
原料として仕入れるのもこの生豆の状態。
収穫されたチェリーは産地で『精製工程(プロセス)』を経て生豆になる。精製とは、皮剥き、乾燥、洗浄、脱穀などの工程のこと。精製方法は生産国ごとに違い、その違いがコーヒーの味の特徴にも表れる。栽培と同じ位『精製』はおいしいコーヒーの重要条件。
実は浅煎り豆の方が胃に負担が掛かる。
『浅煎り=色が薄くてあっさり=胃に優しい』は誤解。実はコーヒー豆は『浅煎りの方が胃に負担が掛かる』。
原因はカフェイン。カフェインは胃液の分泌を促進する働きがあり、健康時は食欲増進や消化を助けるが、胃潰瘍や胃炎の方が飲むと胃酸分泌過剰で症状が悪化する恐れがある。
一見、色の黒い深煎りの方がカフェインが多そうだが、実は浅煎りの方がずっと多くのカフェインを含んでいる。
では深煎りが良いのかというと、深煎りはカフェイン量は減るが、焙煎が進むことによる炭化現象で、カフェインとは別に炭化成分が胃の負担になる。
したがって、焙煎度としては『ハイロースト(中浅煎り)〜シティ(中煎り)』位の豆がカフェインも減り炭化も進んでおらず、胃の負担が最も軽い。
軽い感じが良ければ、ハイロースト〜シティロースト位の豆を抽出後にお湯で薄めて飲むのが一番胃に優しい。
サイフォンはペーパードリップに比べ雑味・えぐみ・苦味が出やすい。
サイフォンはペーパードリップに比べ雑味・えぐみ・苦味などが抽出されやすい。メーカー推奨の淹れ方では、おいしく淹れるのにある程度の限界がある。
理由1: サイフォンは沸騰湯でコーヒー液を抽出するため湯温が高く、悪い成分(雑味やえぐみ)が溶け出しやすい。
理由2: サイフォンでは中〜粗挽きを使うが、家庭用ミルでは粒が均一にならず微粉が混ざる。微粉は抽出過多になりやすく、高温抽出では微粉の悪影響が特に大きい。
内倉の意見: サイフォンの最大の醍醐味は味より『演出効果』。ペーパーの方が簡単においしく淹れられるが、お子様の喜ぶ顔を見ながら飲むコーヒーのほうがおいしく感じることもある。
サイフォンでも面倒な工夫をすればネルドリップ並みに美味しく淹れる方法はあり。
おいしい成分は低温・短時間で溶け出しやすく、おいしくない成分は高温・長時間で溶け出す。
抽出の目的は『おいしい成分を十分に、おいしくない成分は極力抽出しない』こと。
おいしい成分=低温でも溶け出しやすい、短時間で出る。おいしくない成分=高温で溶け出しやすい、低温では時間がかかる。
つまり湯温が高すぎるとダメな成分まで出てしまう。低温でも長時間ならやはりダメな成分が出る。ポイントは『低温(85〜90℃)で悪い成分が溶け出す前に抽出を終える』こと。
湯温調整: お湯7割のポットからサーバーに一旦全て注いで、ゆっくりポットに戻すと約85〜90℃。ポット内の湯が少なすぎると下がりすぎるので注意。
抽出時間はゆっくり入れない限り4分超えないのでそれほど心配不要。焦ってドボドボ入れないように。
大原則は『細かいほど濃く、粗いほどあっさり』。
挽き具合と味: 細かいほど味が濃く、粗いほどあっさり。細かくなるほど湯と触れる面積が増え成分が出やすいため。
だが細挽きにしたのに薄くなった理由: 細挽きは抵抗が強く、スピーディーに注ぐと湯が粉の層を通らず、粉の表層からドリッパー縁へ流れてサーバーに落ちてしまう。これでは濃度が出ない。中挽きは早めに注いでも湯が粉の層を通るのでしっかり成分が出る。
細挽きはゆっくり注ぎ、お饅頭型の膨らみを維持しながら抽出。4分以内で終わらないならメッシュが細かすぎ。
極細挽きはエスプレッソ専用(気圧で短時間に一気抽出するので雑味が出る前に良い成分だけ取れる)。ペーパーで極細挽きは時間がかかりすぎて雑味が出る。
きゃろっとの豆は基本『中細挽き〜中挽き』。濃度調整は挽き加減を変えるより豆量を増やすほうが簡単で味が安定。
コーヒーの苦味には種類があり、良質な苦味はキレが良くさっぱり、質の悪い苦味は舌を刺すように残る。
コーヒーの苦味は複雑な味や風味を生む重要な要素。種類があり、適切な焙煎の苦味はキレが良くさっぱり、質の悪い苦味は飲後にも舌を刺すように残る。理由は焙煎不良による焦げや苦味成分の比率の違い。
生豆の状態ではカフェインやトリゴネリンなど苦味成分はごく少量で、かじっても苦くない。焙煎の加熱工程で苦味成分が生成される。
カラメル化: 生豆に含まれる少量の糖類が加熱で起こす現象。良質な苦味と香りを生む。温度が高すぎると炭化し舌を刺す嫌な苦味に。
他にメイラード反応、脂質の糖化などで苦味成分が生成。苦味は酸味を引き立てたり、甘味で和らいだりとバランスを取るのが焙煎士の仕事。
焙煎技術の違いが原因。
焙煎技術は『生豆を均一に焼く技術』。見た目の焙煎度が同じでも酸味や苦味が違うのは、表面は同じ色でも実際には均一に焼けていないため。表面だけ焼け芯が生焼けなら酸味が残り、芯だけ焦げたら苦味が強くなる。
さらに均一に焼けていても味が違うことがある。焙煎は化学変化で、15分弱の焙煎時間のどの時間帯にどれだけ熱量を与えるかで成分の生成量が変わる。例えば『最初の10分強火+後半10分弱火』と『最初の10分弱火+後半10分強火』では、同じ焼け具合でも味が違う。
これが焙煎の難しさであり『味づくり』の醍醐味。
コーヒーに砂糖を入れる習慣は中南米・アラブなどの生産地で喉の渇きを防ぐために始まった。
コーヒーに砂糖を入れる文化は歴史的経緯がある。中南米やアラブ諸国など生産地では気候が厳しく労働で喉が渇く。ブラックは『喉を洗い流す』イメージで渇きを潤すのに向かず、砂糖は喉の渇き防止のために入れられたとされる。
・グラニュー糖: サトウキビ/テンサイの液からショ糖のみを結晶化。クセなく粒子が小さく溶けやすい
・角砂糖: グラニュー糖を濃厚糖液で圧縮乾燥。ほぼ同味だがわずかにアクを感じる場合あり
・コーヒーシュガー: 氷砂糖の一種、グラニュー糖にカラメル加え再結晶。ゆるやかに溶け甘さの変化を楽しめる
黒糖・三盆糖など個性の強い砂糖はコーヒーの味や香りを変えるため不向き。
コーヒー自体は100%自然食品で太る要素はないが、砂糖の入れすぎは肥満の原因。疲れや睡眠不足時に砂糖を入れると効果的。
余談: 砂糖なしコーヒーを『ブラック』と呼ぶのは日本だけ。海外ではブラックは色のことで、砂糖入りでも『ブラックコーヒー』。海外で『ブラックで』と言うと砂糖有無を聞かれるので注意。
コーヒーは嗜好品なので自由。
コーヒーは嗜好品なので、正しく淹れていればブラック・砂糖・ミルク、何でも自由。無理してブラックで飲む必要はない。
『コーヒー通はブラック』と言われるのは、生産国で生豆のカップ評価をする際にブラックでテストするのが由来。世界的にはブラックより砂糖・ミルク派のほうが圧倒的に多い。
例えばイタリアのエスプレッソバールでは、立ったまま大さじ数杯の砂糖を入れて2〜3口で飲むスタイルが一般的。エスプレッソは砂糖で旨味が強調され、酸味・苦みが和らぎ、おいしいシロップのような味になる。
ドリップコーヒーを楽しむなら内倉の個人的おすすめは断然ブラック。高品質コーヒーはブラックで『甘み』を感じられる。とりわけ中煎りで甘みは強く出る。この甘みをぜひ味わってほしい(強制ではない)。
コーヒーの焙煎度はライトローストからイタリアンローストまで8段階。
コーヒーの焙煎度は浅煎り・中煎り・深煎りなど豆の煎り加減を表し、アメリカ方式ではライトロースト(極浅煎り)〜イタリアンロースト(極深煎り)の8段階。焙煎度は味を決める大きな要素。
大原則: 【浅煎りほど酸味が強く苦味が少ない】【深煎りになるほど酸味がなくなり苦味が増す】
『モカは酸味のコーヒー』『マンデリンは苦味のコーヒー』という産地銘柄での表現があるが、モカも深煎りなら酸味はなくなり、マンデリンも浅煎りなら酸味が突出して苦味が出ない。
つまり『この銘柄はこんな味』では不十分で、『この銘柄のこの焙煎度ならこんな味』という基準で選ぶのが正確。『酸味のコーヒーが好きでモカを買ったのに深煎りで酸味がなかった』という失敗を避けるために覚えておく。
オーガニック認証は『栽培方法』のみの認証で、『品質が高い』『体に良い』を保証するものではない。
オーガニック(有機無農薬)はJASやOCIAなどの公的機関の基準をクリアした栽培方法。高値で取引され人気があるが「オーガニック=品質が良い/体に良い」という風潮には疑問。
オーガニックは『栽培方法だけ』の認証。農薬を使っていなければどんな育て方・精製方法でも認証が取れる。つまり『何の努力もせず放ったらかしで育てた豆』でも認証取得可能。さらに収穫後チェリーの精製環境は考慮されない。
コスタリカで訪問したあるオーガニック認証農園は、雑草だらけでサビ病が蔓延、収穫チェリーも未成熟多数、パルパーは掃除されず腐敗臭、タンクやパティオも不衛生。カッピング結果も腐敗臭と未成熟豆の味で品質の良いコーヒーではなかった。
一方、品質の高い農園は認証を取っていなくても、栽培方法はオーガニックの基準に合致することが多い。品質維持のため農薬を多用できず、有機肥料や自然に優しい病害虫管理を工夫している。土壌と生態系を大事にし、結果的にオーガニック同様の栽培に。
『体に優しい』で選ぶなら『品質が高いか』の基準の方が信頼できる。
コーヒーの酸味には『おいしくない酸味』と『おいしい酸味』がある。
コーヒーの酸味は大きく2種類。厳密にはクロロゲン酸、ギ酸、酢酸、リンゴ酸、キナ酸など多数が焙煎中の化学変化で生成される。
「おいしくない酸味」は2つ: (1)酸化した豆の不快な酸っぱさ(これを酸味だと思う人が多い) (2)焙煎不良で芯が生焼けだったり酸生成が不適切だと、舌を刺すような鋭い不快な酸味。「自家焙煎で新鮮=おいしい」とは限らない。
「おいしい酸味」は豆本来の個性で、適切な焙煎が不可欠。人間の舌に心地よい酸のみを生成するのがロースターの仕事。良質な酸味には柑橘系のようにほのかな甘味がある。
国際品評会でも酸味は大きな評価ウエイト。「良質な酸か」「質は」「ボディとのバランスは」が高得点の条件。日本では酸化豆のイメージから嫌われがちだが、海外では最重要要素の一つ。
適切に焙煎された酸は「オレンジのよう」「リンゴのよう」とフルーツ系の爽やかさ。焙煎が進むほど酸は減り、浅煎りほど豊か。苦味重視の人は浅〜中煎りは選ばないほうが良い。
新鮮なコーヒーなら基本的に体に悪くない。
古くなって酸化したコーヒーならともかく、新鮮なコーヒーなら基本的に体に悪くない。「体に悪い」という話は酸化コーヒーが原因のケースがほとんど。
カフェインはアルカロイドの一種(モルヒネやコカインと同系統)。お茶やカカオにも含まれる。適量なら薬、過剰で毒。致死量は約10g以上を一度に、コーヒー1杯約100mgなので一度に100杯で危険。普通いない。
カフェインの効能: 眠気覚まし、疲労除去、血行促進、利尿、消化促進。ただし胃酸過多・胃潰瘍の人は逆効果。
コーヒーは発見当時から薬として使われてきた。ヨーロッパでは300年以上健康食品扱い。ただし「新鮮で良質」が条件。酸化した腐ったコーヒーが体に良いはずがない。嗜好品として適度に楽しむのが大切。
答えは断然YES。
答えは断然YES。理由は2つ。
(1)保存期間: 焙煎後から酸化が始まる。豆は表面だけが空気に触れ酸化がゆっくりで、常温で約1ヶ月もつ。粉は一粒一粒の表面が触れ、何百倍もの面積で急速酸化。常温でおいしく飲めるのは1週間程度で、粉の場合は冷凍保存必須。
(2)香りの違い: 粉にすると香り成分が空気中に逃げ、抽出コーヒーの香りが弱くなる。コーヒーに香りを求める人は味を求める人より多いというデータもある。
粉派の一番のネックは「挽くのがめんどくさい」。電動ミルなら1人前約5秒。忙しい方は粉で楽しむのもあり。
おすすめ電動ミル: 〜5,000円はメリタ・セレクトグラインド、〜25,000円はボンマック(カット式、綺麗な酸味でメリハリ)、〜50,000円はフジローヤルみるっこ(臼式、酸のカドが円やかで安定)。コスパ最強はボンマック。
日本の家庭用コーヒー豆の90%以上が量販店経由で、消費期限が6〜18か月と長いため焙煎から時間の経った酸化豆が多い。
日本の家庭用コーヒー豆の90%以上は量販店経由(インスタント含む)。消費期限6〜18か月と長く、在庫期間も長いため、購入時点で焙煎から日数が経過している。
酸化したコーヒーはスペシャルティでも高級豆でも「酸っぱいだけ」「冷めたら嫌な味」「ロースト臭が際立つ」と同じような味になる(焙煎度で軽い・濃い・苦いの違いだけ)。そのため量販店豆はどこで買っても似た味で、「安いほう」の価格重視になるのは当然。
鮮度の良い高品質豆を適切に焙煎したコーヒーはフルーツを思わせるフレーバーや本来の酸味が楽しめる。多くの人はこの存在を知らないだけ。
価値判断は人それぞれ。A「味70点500円」とB「味100点1000円」のどちらが価値あるかは人・タイミングで変わる。量販店が間違いで自家焙煎が正しいではなく、TPOに合わせて楽しむのが大事。
酸味が強いときは湯を足すか挽きを細かく、それでもダメなら深煎りを選ぶ。
酸味が強い場合3ステップ: (1)お湯を少し足す (2)挽きを細かく(細かいほど酸味弱く苦み強く濃くなる) (3)深煎りを選ぶ。
苦みが強い場合3ステップ: (1)湯温85℃に (2)挽きを粗く(粗いほど酸味強く苦み弱くなる) (3)浅煎りを選ぶ。
濃い場合2ステップ: (1)お湯を足す (2)挽きを粗く。
雑味/えぐみ3ステップ: (1)湯温85〜90℃ (2)豆量に対して抽出量が多すぎないか確認 (3)挽きを粗く。
原因は大きく2つ: 不適切な抽出と濃度。特に濃度は湯を足すだけで劇的に変わることがある。